五行大義

五行大義

隋の蕭吉が五行思想の諸説を集成した『五行大義』全五巻について、土御門文書編纂所による原文翻刻・句読・訓読・現代語訳を公開します。

土御門文書編纂所による公開校訂版です。元禄十二年刊本の画像を底本とし、原文翻刻、独自句読、独自訓読、独自現代語訳を分離して公開します。

自家翻刻・訓読・現代語訳

公開版 gogyo-taigi-20260818-g4-v2・全964単位・4 / 49頁

GT-100004
表紙・巻頭 校了
原文翻刻校了

猗爲來哲補其闕焉 五行大義序 五行大義總目 第一釋名就此分爲二段一者釋五行名二者論支干名第二辨體性

句読本文校了

猗、爲來哲補其闕焉。 五行大義序。 五行大義總目。 第一釋名、就此分爲二段。一者釋五行名、二者論支干名。第二辨體性。

訓読校了

猗、來哲の爲に其の闕を補はん。『五行大義』序。『五行大義』總目。 第一、名を釋す。此に就き分かちて二段と爲す。一は五行の名を釋し、二は支干の名を論ず。第二、體性を辨ず。

現代語訳校了

ああ、後世の賢者のために、その欠けたところを補おう。『五行大義』序。『五行大義』総目。 第一は名称の解説で、五行の名と支干の名を論じる二段に分ける。第二は五行の体と性を弁別する。

GT-100005
表紙・巻頭 校了
原文翻刻校了

第三論數就此分爲五段一者起大衍論易動靜數二者論五行及生成數三者論支干數四者論納音數五者論九宮數

句読本文校了

第三論數、就此分爲五段。一者起大衍、論易動靜數。二者論五行及生成數。三者論支干數。四者論納音數。五者論九宮數。

訓読校了

第三、數を論ず。此に就き分かちて五段と爲す。一は大衍を起こして易の動靜の數を論じ、二は五行及び生成の數を論じ、三は支干の數を論じ、四は納音の數を論じ、五は九宮の數を論ず。

現代語訳校了

第三は数を論じ、五段に分ける。第一段は大衍から説き起こして『易』の動数・静数を論じ、第二段は五行の数と生成数、第三段は支干の数、第四段は納音の数、第五段は九宮の数を論じる。

總目・第一卷末と第二卷冒頭

第1冊 第6画像を開く(新しいタブ)
GT-100006
表紙・巻頭 校了
原文翻刻校了

右大小八篇第一卷第四論相生就此分爲三段一者論相生二者論生死所三者論四時休王第五論配支干第六論相雜就此分爲三段一者論五行雜體二者論支干雜三者論方位雜

句読本文校了

右大小八篇、第一卷。第四論相生、就此分爲三段。一者論相生、二者論生死所、三者論四時休王。第五論配支干。第六論相雜、就此分爲三段。一者論五行雜體、二者論支干雜、三者論方位雜。

訓読校了

右の大小八篇は第一卷なり。第四、相生を論ず。此に就き分かちて三段と爲す。一は相生を論じ、二は生死の所を論じ、三は四時の休王を論ず。第五、支干に配するを論ず。第六、相雜を論ず。此に就き分かちて三段と爲す。一は五行雜體を論じ、二は支干の雜を論じ、三は方位の雜を論ず。

現代語訳校了

以上の大小八篇が第一巻である。第四は相生を論じ、第一段で相生、第二段で生死の所在、第三段で四季における休・王を論じる。第五は五行を支干に配することを論じる。第六は相雑を論じ、第一段で五行の雑体、第二段で支干の交雑、第三段で方位の交雑を論じる。

GT-100007
表紙・巻頭 校了
原文翻刻校了

第七論德第八論合第九論扶抑第十論相剋第十一論刑第十二論害第十三論衝破右大小十四篇第二卷

句読本文校了

第七論德。第八論合。第九論扶抑。第十論相剋。第十一論刑。第十二論害。第十三論衝破。右大小十四篇、第二卷。

訓読校了

第七、德を論ず。第八、合を論ず。第九、扶抑を論ず。第十、相剋を論ず。第十一、刑を論ず。第十二、害を論ず。第十三、衝破を論ず。右の大小十四篇は第二卷なり。

現代語訳校了

第七は徳、第八は合、第九は扶抑、第十は相剋、第十一は刑、第十二は害、第十三は衝破を論じる。以上、大小十四篇が第二巻である。

總目・第三卷から第五卷冒頭

第1冊 第7画像を開く(新しいタブ)
GT-100008
表紙・巻頭 校了
原文翻刻校了

第十四論雜配就此分爲六段一者論配五色二者論配聲音三者論配氣味四者論配藏府五者論配五帝六者論配五事右大小六篇第三卷第十五論律呂第十六論七政第十七論八卦八風第十八論性情第十九論治政右大小五篇第四卷第二十論諸神第二十一論五帝

句読本文校了

第十四論雜配、就此分爲六段。一者論配五色、二者論配聲音、三者論配氣味、四者論配藏府、五者論配五帝、六者論配五事。右大小六篇、第三卷。第十五論律呂。第十六論七政。第十七論八卦八風。第十八論性情。第十九論治政。右大小五篇、第四卷。第二十論諸神。第二十一論五帝。

訓読校了

第十四、雜配を論ず。此に就き分かちて六段と爲す。一は五色に配するを論じ、二は聲音に配するを論じ、三は氣味に配するを論じ、四は藏府に配するを論じ、五は五帝に配するを論じ、六は五事に配するを論ず。右の大小六篇は第三卷なり。第十五、律呂を論ず。第十六、七政を論ず。第十七、八卦・八風を論ず。第十八、性情を論ず。第十九、治政を論ず。右の大小五篇は第四卷なり。第二十、諸神を論ず。第二十一、五帝を論ず。

現代語訳校了

第十四は雑配を論じ、六段に分ける。第一段は五色への配当、第二段は声音への配当、第三段は気味への配当、第四段は臓腑への配当、第五段は五帝への配当、第六段は五事への配当を論じる。以上の大小六篇が第三巻である。第四巻では、第十五に律呂、第十六に七政、第十七に八卦と八風、第十八に性情、第十九に治政を論じ、以上の大小五篇を収める。第五巻では、第二十に諸神、第二十一に五帝を論じる。

GT-100009
表紙・巻頭 校了
原文翻刻校了

第二十二論諸官第二十三論諸人就此分爲二段一者論人配五行二者論人游年年立第二十四論禽蟲就此分爲二段一者論五靈二者論三十六禽右大小七篇第五卷五行大義總目

句読本文校了

第二十二論諸官。第二十三論諸人、就此分爲二段。一者論人配五行、二者論人游年年立。第二十四論禽蟲、就此分爲二段。一者論五靈、二者論三十六禽。右大小七篇、第五卷。五行大義總目。

訓読校了

第二十二、諸官を論ず。第二十三、諸人を論ず。此に就き分かちて二段と爲す。一は人を五行に配するを論じ、二は人の游年年立を論ず。第二十四、禽蟲を論ず。此に就き分かちて二段と爲す。一は五靈を論じ、二は三十六禽を論ず。右の大小七篇は第五卷なり。『五行大義』總目。

現代語訳校了

第二十二は諸官を論じる。第二十三は諸人を論じ、第一段で人を五行に配すること、第二段で人の遊年・年立を論じる。第二十四は禽虫を論じ、第一段で五霊、第二段で三十六禽を論じる。以上の大小七篇が第五巻である。ここに『五行大義』総目を終える。

卷第一内題・撰者・篇章構成

第1冊 第8画像を開く(新しいタブ)
GT-100010・巻1
本文 校了
原文翻刻校了

五行大義卷第一 上儀同三司城陽郡開國公蕭吉撰 第一釋名就此分爲二段一者釋五行名二者論支干名第一釋五行名

句読本文校了

五行大義卷第一。 上儀同三司、城陽郡開國公、蕭吉撰。 第一釋名、就此分爲二段。一者釋五行名、二者論支干名。第一釋五行名。

訓読校了

『五行大義』卷第一。上儀同三司・城陽郡開國公、蕭吉撰す。第一、名を釋す。此に就き二段に分かつ。一は五行の名を釋し、二は支干の名を論ず。第一、五行の名を釋す。

現代語訳校了

『五行大義』巻一。上儀同三司・城陽郡開国公の蕭吉が著した。第一篇は名称の解説で、五行の名と支干の名を論じる二段に分ける。まず五行の名を解説する。

GT-100011・巻1
本文 校了
原文翻刻校了

夫萬物自有體質聖人象類而制其名故曰名以定體無名乃天地之始有名則萬物之母

句読本文校了

夫萬物自有體質。聖人象類而制其名。故曰、名以定體。無名乃天地之始、有名則萬物之母。

訓読校了

夫れ萬物、自ら體質有り。聖人、類に象りて其の名を制す。故に曰く、名は以て體を定む。無名は乃ち天地の始め、有名は則ち萬物の母なり。

現代語訳校了

そもそも万物にはそれぞれ形質がある。聖人はその類型にかたどって名を定めた。ゆえに名によって物の実体が定まり、名のないものは天地の始め、名のあるものは万物の母であるという。

称謂の成立と五行の先在

第1冊 第8画像を開く(新しいタブ)
GT-100012・巻1
本文 校了
原文翻刻校了

以其因功涉用故立稱謂禮云子生三月咳而名之及其未生本無名字五行爲萬物之先形用資於造化豈不先立其名然後明其體用

句読本文校了

以其因功涉用、故立稱謂。禮云、子生三月、咳而名之。及其未生、本無名字。五行爲萬物之先、形用資於造化。豈不先立其名、然後明其體用。

訓読校了

其の功に因り用に涉るを以て、故に稱謂を立つ。禮に云ふ、子生れて三月、咳して之を名づく、と。其の未だ生れざるに及びては、本より名字無し。五行は萬物の先爲り、形用は造化に資る。豈に先づ其の名を立て、然る後に其の體用を明らかにせざらんや。

現代語訳校了

その働きと用途に基づいて名称を立てる。『礼』によれば、子は生後三月に父が笑いかけて名を付けるが、生まれる前には名がない。五行は万物に先立ち、その形と作用は造化に基づくから、まず名を定め、その後に本体と作用を明らかにすべきである。

GT-100013・巻1
本文 校了
原文翻刻校了

春秋元命苞曰木者觸也觸地而生許愼云木者冒也言冒地而出字從於中下象其根也其時春禮記曰春之爲言蠢也産萬物者也其位在東方尸子云東者動也震氣故動

句読本文校了

春秋元命苞曰、木者觸也、觸地而生。許愼云、木者冒也、言冒地而出。字從於中下、象其根也。其時春。禮記曰、春之爲言蠢也、産萬物者也。其位在東方。尸子云、東者動也、震氣故動。

訓読校了

『春秋元命苞』に曰く、木は觸なり、地に觸れて生ず、と。許愼云ふ、木は冒なり、地を冒して出づるを言ふ。字は中より下に從ひ、其の根を象るなり、と。其の時は春。『禮記』に曰く、春の言爲るや蠢なり、萬物を産む者なり、と。其の位は東方に在り。『尸子』に云ふ、東は動なり、震氣なる故に動く、と。

現代語訳校了

『春秋元命苞』は、木とは「触」で、地に触れて生じるという。許慎は、木とは「冒」で、地を押し分けて出る意であり、また、その字では中央より下の部分が根をかたどるという。木の季節は春で、『礼記』は春とは蠢くことで万物を生む季節だとする。方位は東で、『尸子』は東とは動くことで、震の気ゆえに動くと説く。

GT-100014・巻1
本文 校了
原文翻刻校了

白虎通云火之爲言化也陽氣用事萬物變化也許愼曰火者炎上也其字炎而上象形者也其時夏尚書大傳云何以謂之夏夏假也假者方呼萬物而養之釋名曰夏假者寛假萬物使生長也

句読本文校了

白虎通云、火之爲言化也、陽氣用事、萬物變化也。許愼曰、火者炎上也、其字炎而上、象形者也。其時夏。尚書大傳云、何以謂之夏。夏假也、假者方呼萬物而養之。釋名曰、夏假者、寛假萬物、使生長也。

訓読校了

『白虎通』に云ふ、火の言爲るや化なり。陽氣、事を用ひ、萬物變化するなり、と。許愼曰く、火は炎上なり。其の字、炎えて上る象形の者なり、と。其の時は夏。『尚書大傳』に云ふ、何を以て之を夏と謂ふ。夏は假なり。假は方に萬物を呼びて之を養ふ、と。『釋名』に曰く、夏の假は萬物を寛假し、生長せしむるなり、と。

現代語訳校了

『白虎通』は、火とは変化の「化」であり、陽気が働いて万物を変化させるという。許慎は、火とは炎上するもので、「火」の字は炎が上へ昇る姿をかたどるという。火の季節は夏である。『尚書大伝』は、なぜ夏というのかと問い、夏は「仮」であり、まさに万物を呼び寄せて養うことだと説く。『釈名』は、夏の「仮」とは万物をゆったりと育み、生長させることだと説く。

GT-100015・巻1
本文 校了
原文翻刻校了

其位南方尚書大傳云南任也物之方任也元命苞云土之爲言吐也含吐氣精以生於物許愼云土者吐生者也王肅云土者地之別號以爲五行也

句読本文校了

其位南方。尚書大傳云、南任也、物之方任也。元命苞云、土之爲言吐也、含吐氣精、以生於物。許愼云、土者吐生者也。王肅云、土者地之別號、以爲五行也。

訓読校了

其の位は南方。『尚書大傳』に云ふ、南は任なり、物の方に任むなり、と。『元命苞』に云ふ、土の言爲るや吐なり。氣精を含み吐き、以て物を生ず、と。許愼云ふ、土は吐き生ずる者なり、と。王肅云ふ、土は地の別號にして、以て五行と爲すなり、と。

現代語訳校了

火の方位は南である。『尚書大伝』は、南とは「任」であり、万物がまさに孕み育つことだと説く。『元命苞』は、土とは「吐」で、精気を含んで吐き出し物を生むという。許慎も土は物を吐き出して生じさせるものとし、王粛は土が地の別名で五行の一つだとする。

GT-100016・巻1
本文 校了
原文翻刻校了

許愼云其字二以象地之下與地之中以一直畫象物初出地也其時季夏季老也萬物於此成就方老王於四時之季故曰老也其位處内内通也禮斗威儀云得皇極之正氣含黃中之德能苞萬物

句読本文校了

許愼云、其字二、以象地之下與地之中、以一直畫、象物初出地也。其時季夏。季老也。萬物於此成就、方老。王於四時之季、故曰老也。其位處内、内通也。禮斗威儀云、得皇極之正氣、含黃中之德、能苞萬物。

訓読校了

許愼云ふ、其の字の二は、以て地の下と地の中とを象り、一の直畫を以て物の初めて地より出づるを象るなり、と。其の時は季夏。季は老なり。萬物此に於て成就し、方に老ゆ。四時の季に王す、故に老と曰ふなり。其の位は内に處り、内は通なり。『禮斗威儀』に云ふ、皇極の正氣を得、黃中の德を含み、能く萬物を苞ぬ、と。

現代語訳校了

許慎は、土の字の二本の横画が地の下と地中を、一つの縦画が物の初めて地上へ出る姿を表すという。土の季節は季夏で、「季」は「老」の意である。万物はここで完成して、まさに老成する。土は四季それぞれの末に盛んになるので、「老」という。その位置は内であり、「内」は通じるという意味である。『礼斗威儀』は、皇極の正気を得て「黄中」の徳を含み、万物を包容できると説く。

GT-100017・巻1
本文 校了
原文翻刻校了

許愼云金者禁也陰氣始起萬物禁止也土生於金字從土左右注象金在土中之形也其時秋也禮記云秋之爲言愁也愁之以時察守義者也尸子云秋肅也萬物莫不肅敬恭莊禮之主也説文曰天地反物爲秋

句読本文校了

許愼云、金者禁也。陰氣始起、萬物禁止也。土生於金。字從土、左右注、象金在土中之形也。其時秋也。禮記云、秋之爲言愁也、愁之以時察、守義者也。尸子云、秋肅也、萬物莫不肅敬恭莊、禮之主也。説文曰、天地反物爲秋。

訓読校了

許愼云ふ、金は禁なり。陰氣始めて起こり、萬物禁止するなり。金は土より生ず。字は土に從ひ、左右注するは、金の土中に在る形を象るなり、と。其の時は秋なり。『禮記』に云ふ、秋の言爲るや愁なり、時を以て察し義を守る者なり、と。『尸子』に云ふ、秋は肅なり、萬物肅敬恭莊せざる莫く、禮の主なり、と。『説文』に曰く、天地、物を反すを秋と爲す、と。

現代語訳校了

許慎は、金とは「禁」であり、陰気が起こり始めて万物の生長を止めることだという。本文の字形説明では金が土中から生じ、「金」の字が土に従い左右に点を置くのは、金属が土中にある形を表す。金の季節は秋である。『礼記』は、秋とは「愁」であり、時に応じて物を厳しく見定め、義を守る季節だと説く。『尸子』は、秋とは「粛」であり、万物が粛然として敬い慎み、うやうやしく整う、礼を主とする季節だと説く。『説文』は、天地が物を収め返すことを秋とする。

GT-100018・巻1
本文 校了
原文翻刻校了

其位西方尚書大傳云西鮮也鮮訊也訊者始入之貌也釋名廣雅白虎通皆曰水準也平準萬物元命苞曰水之爲言演也陰化淖濡流施潛行也

句読本文校了

其位西方。尚書大傳云、西鮮也、鮮訊也、訊者始入之貌也。釋名、廣雅、白虎通、皆曰、水準也、平準萬物。元命苞曰、水之爲言演也、陰化淖濡、流施潛行也。

訓読校了

其の位は西方。『尚書大傳』に云ふ、西は鮮なり、鮮は訊なり、訊は始めて入るの貌なり、と。『釋名』・『廣雅』・『白虎通』、皆曰く、水は準なり、萬物を平準す、と。『元命苞』に曰く、水の言爲るや演なり。陰化して淖濡し、流施し潛行するなり、と。

現代語訳校了

金の方位は西である。『尚書大伝』は、西とは鮮、鮮とは訊で、物が初めて内へ入る姿だと説く。『釈名』『広雅』『白虎通』は、水とは万物を平らに整える『準』だという。『元命苞』は、水とは広がる『演』で、陰の作用によって柔らかく潤し、流れ広がり、地中を潜行すると説く。

GT-100019・巻1
本文 校了
原文翻刻校了

故立字兩人交一以中出者爲水一者數之始兩人譬男女陰陽交以起一也水者五行始焉元氣之湊液也管子云水者地之血氣筋脉之通流者故曰水

句読本文校了

故立字、兩人交、一以中出者爲水。一者、數之始。兩人譬男女、陰陽交以起一也。水者、五行始焉、元氣之湊液也。管子云、水者地之血氣、筋脉之通流者、故曰水。

訓読校了

故に字を立つるに、兩人交はり、一、以て中より出づる者を水と爲す。一は數の始めなり。兩人は男女に譬ふ。陰陽交はりて、以て一を起こすなり。水は五行の始めにして、元氣の湊液なり。『管子』に云ふ、水は地の血氣、筋脉の通流する者なり、故に水と曰ふ、と。

現代語訳校了

そこで水の字は、二つの人形が交わり、中央から一本の線が出る形として作られた。一は数の始めであり、二人は男女を表す。陰陽が交わって一を生じる。水は五行の始まりであり、元気が集まった液体である。『管子』は、水とは大地の血気で、筋脈を通って流れるものであるため「水」というのだ、と説く。

第一釋五行名・冬と北方

第1冊 第11画像を開く(新しいタブ)
GT-100020・巻1
本文 校了
原文翻刻校了

許愼云其字象泉並流中有微陽之氣其時冬尸子云冬終也萬物至此終藏也禮記云冬之爲言中也中者藏也其位北方尸子云北伏也萬物至冬皆伏貴賤若一也五行之時及方位故分而釋之

句読本文校了

許愼云、其字象泉並流、中有微陽之氣。其時冬。尸子云、冬、終也。萬物至此終藏也。禮記云、冬之爲言中也。中者、藏也。其位北方。尸子云、北、伏也。萬物至冬皆伏、貴賤若一也。五行之時及方位、故分而釋之。

訓読校了

許愼云く、其の字は泉の並び流るるを象り、中に微陽の氣有り。其の時は冬なり。尸子云く、冬は終なり。萬物此に至りて終に藏すなり。『禮記』に云く、冬の言たる中なり。中とは藏なり。其の位は北方。尸子云く、北は伏なり。萬物冬に至れば皆伏し、貴賤一の若し。五行の時及び方位、故に分かちて之を釋す。

現代語訳校了

許慎は、「水」の字が泉の並び流れる姿をかたどり、その中央にはわずかな陽気があると説く。水の季節は冬である。『尸子』は、冬とは「終」であり、万物がここに至って最後に蔵されることだと説く。『礼記』は、冬とは「中」であり、「中」は蔵することだと説く。水の方位は北である。『尸子』は、北とは「伏」であり、万物が冬にはすべて伏して貴賤の別なく同じ状態になることだと説く。このように五行の季節と方位を分けて解説した。

GT-100021・巻1
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原文翻刻校了

第二論支干名支干者因五行而立之昔軒轅之時大撓之所制也蔡邕月令章句云大撓採五行之情占斗機所建也始作甲乙以名日謂之幹作子丑以名月謂之支

句読本文校了

第二、論支干名。支干者、因五行而立之。昔軒轅之時、大撓之所制也。蔡邕月令章句云、大撓採五行之情、占斗機所建也。始作甲乙以名日、謂之幹。作子丑以名月、謂之支。

訓読校了

第二、支干の名を論ず。支干は五行に因りて之を立つ。昔、軒轅の時、大撓の制する所なり。蔡邕の『月令章句』に云く、大撓、五行の情を採り、斗機の建つる所を占うなり。始めて甲乙を作りて日を名づけ、之を幹と謂い、子丑を作りて月を名づけ、之を支と謂う。

現代語訳校了

第二に支干の名を論じる。支干は五行に基づいて立てられ、黄帝軒轅の時代に大撓が制定した。蔡邕の『月令章句』は、大撓が五行の性情を採り、北斗の機軸が指し示す位置を占察し、初めて甲乙を作って日を名づけ、これを幹と呼び、子丑を作って月を名づけ、これを支と呼んだと説く。

第二論支干名・総名と別号

第1冊 第11画像を開く(新しいタブ)
GT-100022・巻1
本文 校了
原文翻刻校了

有事於天則用日有事於地則用辰陰陽之別故有支干名也而名有總別先論總名次言別號總名支幹者幹字乃有三種不同

句読本文校了

有事於天、則用日。有事於地、則用辰。陰陽之別、故有支干名也。而名有總別。先論總名、次言別號。總名支幹者、幹字乃有三種不同。

訓読校了

天に事有れば則ち日を用い、地に事有れば則ち辰を用う。陰陽の別なるが故に支干の名有るなり。而して名に總別有り。先ず總名を論じ、次に別號を言う。總名の支幹は、幹の字乃ち三種の同じからざる有り。

現代語訳校了

天に関する事には日を、地に関する事には辰を用いる。これは陰陽の区別によって干支の名があるからである。その名称には総称と個別名があり、まず総称、次に個別名を論じる。総称の「幹」には三つの異なる表記がある。

第二論支干名・簳の字義

第1冊 第11画像を開く(新しいタブ)
GT-100023・巻1
本文 校了
原文翻刻校了

一作幹二作簳三作干字今解簳字者此支簳既相配成用如樹木之有支條莖簳共爲樹體所以云簳

句読本文校了

一作幹、二作簳、三作干字。今解簳字者、此支簳既相配成用、如樹木之有支條莖簳、共爲樹體。所以云簳。

訓読校了

一に幹に作り、二に簳に作り、三に干の字に作る。今、簳の字を解するに、此の支と簳とは既に相配して用を成し、樹木に支條と莖簳と有り、共に樹體を爲すが如し。所以に簳と云う。

現代語訳校了

第一は幹、第二は簳、第三は干と書く。「簳」を解釈すると、支と簳が組み合わさって働くことは、樹木の枝と幹がともに樹体を形づくるのと同じである。そこで簳という。

底本影印

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