五行大義

五行大義

隋の蕭吉が五行思想の諸説を集成した『五行大義』全五巻について、土御門文書編纂所による原文翻刻・句読・訓読・現代語訳を公開します。

土御門文書編纂所による公開校訂版です。元禄十二年刊本の画像を底本とし、原文翻刻、独自句読、独自訓読、独自現代語訳を分離して公開します。

自家翻刻・訓読・現代語訳

公開版 gogyo-taigi-20260818-g4-v2・全964単位・39 / 49頁

GT-400227・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

閉閭門執當罪飭關梁此并順水閉藏之義無決池堰恐水氣泄溢也如此則醴泉出恩及禽蟲則靈龜見書云澤及昆蟲者也甲蟲屬水喜故見也若人君廢祭祀簡宗廟執法不順逆天氣則民病流腫水脹痿痺孔竅不通此并水氣壅結之義

句読本文校了

閉閭門執當罪飭關梁此并順水閉藏之義無決池堰恐水氣泄溢也。如此則醴泉出恩及禽蟲則靈龜見書云、澤及昆蟲者也。甲蟲屬水喜故見也。若人君廢祭祀簡宗廟執法不順逆天氣則民病流腫水脹痿痺孔竅不通此并水氣壅結之義。

訓読校了

閭門を閉ぢ、罪に當る者を執へ、關梁を飭ふ。此れ并びに水の閉藏の義に順ふ。池堰を決する無かれ、水氣の泄溢を恐るればなり。此の如くすれば醴泉出づ。恩禽蟲に及べば靈龜見はる。書に云ふ「澤昆蟲に及ぶ」者なり。甲蟲は水に屬し、喜ぶ故に見はる。若し人君祭祀を廢し、宗廟を簡り、法を執ること順はず、天氣に逆らへば、民は流腫・水脹・痿痺を病み、孔竅通ぜず。此れ并びに水氣壅結の義なり。

現代語訳校了

里門を閉じ、罪に当たる者を捕らえ、関所や橋を整える。これは水が閉じ蔵する性質に従う。水気が漏れあふれぬよう池や堤を決壊させない。こうすれば甘い泉が湧き、恩恵が鳥や虫まで及べば霊亀が現れる。これは書にいう「恵沢が昆虫まで及ぶ」状態で、甲殻の生物は水に属して喜ぶから現れる。君主が祭祀を廃し宗廟を軽んじ、法の運用を誤り天気に逆らえば、民は浮腫・腹水・麻痺を患い、身体の孔が通じなくなる。水気が塞がるためである。

GT-400228・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

賢人以水居太陰之位陰闇虛空比之宗廟人死精氣散越立宗廟以收之堂宇虛寂陰暗無人喻之水也廢於祭祀則失孝道故太陰之氣感而病人爲此疾也水爲災害靈龜深藏鬼哭介蟲爲怪介蟲屬水氣傷故爲覆藏而不見也宗廟不祀魂氣傷怨

句読本文校了

賢人以水居太陰之位陰闇虛空比之宗廟人死精氣散越立宗廟以收之堂宇虛寂陰暗無人喻之水也。廢於祭祀則失孝道故太陰之氣感而病人爲此疾也。水爲災害靈龜深藏鬼哭介蟲爲怪介蟲屬水氣傷故爲覆藏而不見也。宗廟不祀魂氣傷怨。

訓読校了

賢人以へらく、水は太陰の位に居り、陰闇虛空にして宗廟に比す。人死して精氣散越するに、宗廟を立てて以て之を收む。堂宇虛寂、陰暗にして人無きは水に喩ふ。祭祀を廢すれば孝道を失ふ。故に太陰の氣感じて人を病ましめ、此の疾を爲す。水災害を爲せば、靈龜深く藏れ、鬼哭し、介蟲怪を爲す。介蟲は水に屬し、氣傷つく故に覆藏して見えず。宗廟祀らざれば魂氣傷怨す。

現代語訳校了

賢者は、水が太陰の位置にあり暗く虚ろなので宗廟に似ると考える。人が死んで精気が散ると宗廟を建ててそれを収める。堂内が静かで暗く人がいないことも水にたとえられる。祭祀を廃すれば孝道を失うので、太陰の気が感応して人にこうした病を起こす。水が災害となれば霊亀は深く隠れ、鬼が泣き、甲殻の虫が怪異を示す。水に属する介虫は気が傷つくと隠れて見えず、宗廟を祀らなければ魂の気が傷つき怨む。

GT-400229・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

故鬼哭也孝經援神契云木氣生風火氣生蝗土氣生蟲金氣生霜水氣生雹失政於木則風來應失政於火則蝗來應失政於土則蟲來應失政於金則霜來應失政於水則雹來應作傷致風侵至致蝗貪殘致蟲刻毒致霜暴虐致雹此皆并隨類而致也

句読本文校了

故鬼哭也。孝經援神契云、木氣生風火氣生蝗土氣生蟲金氣生霜水氣生雹失政於木則風來應失政於火則蝗來應失政於土則蟲來應失政於金則霜來應失政於水則雹來應作傷致風侵至致蝗貪殘致蟲刻毒致霜暴虐致雹此皆并隨類而致也。

訓読校了

故に鬼哭す。孝經援神契に云はく、木氣は風を生じ、火氣は蝗を生じ、土氣は蟲を生じ、金氣は霜を生じ、水氣は雹を生ず。政を木に失すれば風來り應じ、火に失すれば蝗來り應じ、土に失すれば蟲來り應じ、金に失すれば霜來り應じ、水に失すれば雹來り應ず。傷を作せば風を致し、侵至は蝗を致し、貪殘は蟲を致し、刻毒は霜を致し、暴虐は雹を致す。此れ皆并びに類に隨ひて致る。

現代語訳校了

そのため鬼が泣く。『孝経援神契』は、木気が風、火気が蝗、土気が虫、金気が霜、水気が雹を生むという。木に関する政治を誤れば風、火なら蝗、土なら虫、金なら霜、水なら雹が応じて来る。害を作れば風、侵害を極めれば蝗、貪欲で残酷なら虫、苛酷で毒あれば霜、暴虐なら雹を招く。このようにすべて同類の作用に従って現れる。

GT-400230・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

桓子新論曰人抱天地之體懷純粹之精有生之最靈者也是以貌動於木言信於金視明於火聽聰於水思睿於土五行之用動靜還與神通貌恭則肅肅時雨若言從則乂乂時暘若視明則哲哲時燠若聽聰則謀謀時寒若心嚴則聖聖時風若金木水火

句読本文校了

桓子新論曰、人抱天地之體懷純粹之精有生之最靈者也。是以貌動於木言信於金視明於火聽聰於水思睿於土五行之用動靜還與神通貌恭則肅肅時雨若言從則乂乂時暘若視明則哲哲時燠若聽聰則謀謀時寒若心嚴則聖聖時風若金木水火。

訓読校了

桓子新論に曰はく、人は天地の體を抱き、純粹の精を懷く。有生の最も靈なる者なり。是を以て貌は木に動き、言は金に信あり、視は火に明らか、聽は水に聰く、思は土に睿し。五行の用、動靜還りて神と通ず。貌恭しければ肅、肅なれば時雨若ふ。言從へば乂、乂なれば時暘若ふ。視明らかなれば哲、哲なれば時燠若ふ。聽聰ければ謀、謀あれば時寒若ふ。心嚴なれば聖、聖なれば時風若ふ。金木水火は、

現代語訳校了

『桓子新論』は、人が天地の身体と純粋な精気を備え、生物中もっとも霊妙だという。容貌の働きは木、言葉の信実は金、視覚の明晰さは火、聴覚の聡明さは水、思考の叡智は土に配され、五行の動静は神明に通じる。容貌が恭しければ粛となって適時の雨が従い、言が従順なら治となって適時の日照が従い、視覚が明らかなら哲となって適時の暖気が従い、聴覚が聡ければ謀となって適時の寒気が従い、心が厳正なら聖となって適時の風が従う。金・木・水・火は、

GT-400231・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

皆載於土雨晹燠寒皆發於風貌言視聽皆生於心尸子云心者身之君天子以天下受令於心心不當則天下禍諸侯以國受令於心心不當則國亡匹夫以身受令於心心不當則身戮故人心者乃天地之精群生之本故政之治亂由於君之心也是心

句読本文校了

皆載於土雨晹燠寒皆發於風貌言視聽皆生於心尸子云、心者身之君天子以天下受令於心心不當則天下禍諸侯以國受令於心心不當則國亡匹夫以身受令於心心不當則身戮故人心者乃天地之精群生之本故政之治亂由於君之心也。是心。

訓読校了

皆土に載り、雨・晹・燠・寒は皆風に發し、貌・言・視・聽は皆心に生ず。尸子に云はく、心は身の君なり。天子は天下を以て心に令を受け、心當らざれば天下禍す。諸侯は國を以て心に令を受け、心當らざれば國亡ぶ。匹夫は身を以て心に令を受け、心當らざれば身戮せらる。故に人心は乃ち天地の精、群生の本なり。故に政の治亂は君の心に由る。是の心、

現代語訳校了

すべて土に載り、雨・日照・暖気・寒気はすべて風から発し、容貌・言葉・視覚・聴覚はすべて心から生じる。『尸子』は心を身体の君主とする。天子は天下について心から命令を受け、心が正しくなければ天下に禍が起こる。諸侯は国について心から命令を受け、心が正しくなければ国が滅ぶ。庶民は身体について心から命令を受け、心が正しくなければ身を刑される。人心は天地の精髄で万物の根本だから、政治の治乱は君主の心による。この心によって、

GT-400232・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

聖人受命而王莫不承天地法五行脩五事而御宇宙養蒼生者也其制度法式皆五行爲本衣服威儀朝廷俯仰農桑播殖施惠慶賜木也尊卑上下制度禮式封爵賞功居高視遠火也宮室臺榭夫婦親戚布德含養祿秩赦宥土也兵戎器械獀狩武備刑罰獄禁金也

句読本文校了

聖人受命而王莫不承天地法五行脩五事而御宇宙養蒼生者也。其制度法式皆五行爲本衣服威儀朝廷俯仰農桑播殖施惠慶賜木也。尊卑上下制度禮式封爵賞功居高視遠火也。宮室臺榭夫婦親戚布德含養祿秩赦宥土也。兵戎器械、獀狩武備、刑罰獄禁、金也。

訓読校了

聖人命を受けて王たり、天地を承け、五行に法り、五事を脩めて宇宙を御し蒼生を養はざる莫し。其の制度法式は皆五行を本と爲す。衣服威儀・朝廷俯仰・農桑播殖・施惠慶賜は木なり。尊卑上下・制度禮式・封爵賞功・居高視遠は火なり。宮室臺榭・夫婦親戚・布德含養・祿秩赦宥は土なり。兵戎器械・獀狩武備・刑罰獄禁は金なり。

現代語訳校了

聖人は天命を受けて王となり、天地を承け、五行を法とし、五事を修めて天下を治め民を養う。制度や法式はすべて五行を根本とする。衣服と威儀、朝廷での進退、農業と養蚕・播種と栽培、恩恵と褒賞は木。尊卑上下、制度と礼式、爵位授与と賞功、高所から遠くを見ることは火。宮殿と楼台、夫婦と親族、徳を施して養うこと、俸禄と赦免は土。軍事と武器、狩猟と武備、刑罰と獄禁は金である。

GT-400233・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

宗廟祭祀儲積封藏飭喪哀慕卜筮決疑水也因五行而致百官因百官而理萬事萬事理而四海安是政治之所由也其居處服御器用所從莫不本乎五行乃通治道也禮記云春之月天子居青陽左个乘鸞輅駕蒼龍載青旂衣青衣服蒼玉

句読本文校了

宗廟祭祀儲積封藏飭喪哀慕卜筮決疑水也。因五行而致百官因百官而理萬事萬事理而四海安是政治之所由也。其居處服御器用所從莫不本乎五行乃通治道也。禮記云、春之月天子居青陽左个乘鸞輅駕蒼龍載青旂衣青衣服蒼玉。

訓読校了

宗廟祭祀・儲積封藏・飭喪哀慕・卜筮決疑は水なり。五行に因りて百官を致し、百官に因りて萬事を理む。萬事理まりて四海安し。是れ政治の由る所なり。其の居處・服御・器用の從ふ所は、五行に本づかざる莫く、乃ち治道に通ず。禮記に云はく、春の月、天子は青陽左个に居り、鸞輅に乘り、蒼龍を駕し、青旂を載せ、青衣を衣、蒼玉を服す。

現代語訳校了

宗廟と祭祀、貯蔵と封印、喪を整え哀慕すること、卜筮で疑いを決することは水である。五行に基づいて百官を置き、百官によって万事を治めれば天下は安定する。これが政治の由来である。住居・服装・器物もすべて五行に基づき、統治の道に通じる。『礼記』では春、天子は青陽左个に住み、鸞輅に乗り蒼龍を御し、青旗を掲げ、青衣を着て蒼玉を帯びる。

GT-400234・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

夏之月居明堂左个乘朱輅駕赤駵載赤旂衣朱衣服赤玉中央土居太廟太室乘太輅駕黃駵載黃旂衣黃衣服黃玉秋之月居總章左个乘戎輅駕白駱載白旂衣白衣服白玉冬之月居玄堂左个乘元輅駕鐵驪載玄旂衣玄衣服玄玉考靈曜云

句読本文校了

夏之月、居明堂左个、乘朱輅、駕赤駵、載赤旂、衣朱衣、服赤玉。中央土、居太廟太室、乘太輅、駕黃駵、載黃旂、衣黃衣、服黃玉。秋之月、居總章左个、乘戎輅、駕白駱、載白旂、衣白衣、服白玉。冬之月、居玄堂左个、乘元輅、駕鐵驪、載玄旂、衣玄衣、服玄玉。考靈曜云、

訓読校了

夏の月は明堂左个に居り、朱輅に乘り、赤駵を駕し、赤旂を載せ、朱衣を衣、赤玉を服す。中央土は太廟太室に居り、太輅に乘り、黃駵を駕し、黃旂を載せ、黃衣を衣、黃玉を服す。秋の月は總章左个に居り、戎輅に乘り、白駱を駕し、白旂を載せ、白衣を衣、白玉を服す。冬の月は玄堂左个に居り、元輅に乘り、鐵驪を駕し、玄旂を載せ、玄衣を衣、玄玉を服す。考靈曜に云はく、

現代語訳校了

夏には明堂左个に住み、朱輅に乗り赤駵を御し、赤旗を掲げ、朱衣を着て赤玉を帯びる。中央の土では太廟太室に住み、太輅に乗り黄駵を御し、黄旗を掲げ、黄衣を着て黄玉を帯びる。秋には総章左个に住み、戎輅に乗り白駱を御し、白旗を掲げ、白衣を着て白玉を帯びる。冬には玄堂左个に住み、元輅に乗り鉄驪を御し、玄旗を掲げ、玄衣を着て玄玉を帯びる。次に『考霊曜』はいう。

GT-400235・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

春發令於外行仁政從天常其時衣青夏可以毀金銷銅使備火敬天之明其時衣赤中央土舉有道之人與之慮國可以殺罪不可起土功犯地之常其時衣黃秋無毀金銅犯陰之剛用其時持兵宜殺猛獸其時衣白冬無使物不藏毋害水道與氣相保

句読本文校了

春發令於外行仁政從天常其時衣青夏可以毀金銷銅使備火敬天之明其時衣赤中央土舉有道之人與之慮國可以殺罪不可起土功犯地之常其時衣黃秋無毀金銅犯陰之剛用其時持兵宜殺猛獸其時衣白冬無使物不藏毋害水道與氣相保。

訓読校了

春は令を外に發し、仁政を行ひ、天常に從ひ、其の時青を衣る。夏は金を毀ち銅を銷すべく、火に備へしめ、天の明を敬ひ、其の時赤を衣る。中央土は有道の人を舉げ、之と國を慮り、罪を殺すべく、土功を起して地の常を犯すべからず。其の時黃を衣る。秋は金銅を毀ちて陰の剛を犯す無く、其の時を用ゐて兵を持ち、宜しく猛獸を殺すべし。其の時白を衣る。冬は物を藏さざらしむる無く、水道を害せず、氣と相保つ。

現代語訳校了

春は命令を外へ発し、仁政を行い、天の常道に従い、青を着る。夏は金を砕き銅を溶かして火に備え、天の明を敬い、赤を着る。中央の土では道ある人を挙げて国政を相談し、有罪者を処刑できるが、土木工事を起こして地の常道を犯してはならず、黄を着る。秋は金銅を壊して陰の剛さを犯さず、武器を持って猛獣を殺し、白を着る。冬はすべての物を蔵し、水路を害さず、気を保つ。

GT-400236・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

其時衣黑家語云孟春正月東宮衣青綵鼓琴瑟其兵矛其樹柳仲春二月東宮衣樂兵如前其樹杏季春三月東宮衣樂兵如前其樹李孟夏四月南宮衣赤綵吹笙竽其樹桃其兵戟仲夏五月南宮衣樂兵如前其樹榆季夏六月中宮衣黃綵打大鼓其樹梓

句読本文校了

其時衣黑家語云、孟春正月東宮衣青綵鼓琴瑟其兵矛其樹柳仲春二月東宮衣樂兵如前其樹杏季春三月東宮衣樂兵如前其樹李孟夏四月南宮衣赤綵吹笙竽其樹桃其兵戟仲夏五月南宮衣樂兵如前其樹榆季夏六月中宮衣黃綵打大鼓其樹梓。

訓読校了

其の時黑を衣る。家語に云はく、孟春正月は東宮、青綵を衣、琴瑟を鼓し、其の兵は矛、其の樹は柳。仲春二月は東宮、衣・樂・兵は前の如く、其の樹は杏。季春三月は東宮、衣・樂・兵は前の如く、其の樹は李。孟夏四月は南宮、赤綵を衣、笙竽を吹き、其の樹は桃、其の兵は戟。仲夏五月は南宮、衣・樂・兵は前の如く、其の樹は榆。季夏六月は中宮、黃綵を衣、大鼓を打ち、其の樹は梓。

現代語訳校了

冬は黒を着る。『家語』では、孟春正月は東宮で青い彩衣を着て琴瑟を奏し、武器は矛、樹木は柳。仲春二月も東宮で衣・音楽・武器は同じ、樹木は杏。季春三月も東宮で衣・音楽・武器は同じ、樹木は李。孟夏四月は南宮で赤い彩衣を着て笙・竽を吹き、樹木は桃、武器は戟。仲夏五月も南宮で衣・音楽・武器は同じ、樹木は楡。季夏六月は中宮で黄色の彩衣を着て大鼓を打ち、樹木は梓である。

GT-400237・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

其兵弓孟秋七月西宮衣白綵撞洪鐘其樹楝其兵劍仲秋八月衣樂兵如前其樹柘季秋九月衣樂兵如前其樹槐孟冬十月北宮衣黑綵擊磬其樹檀其兵楯仲冬十一月北宮衣樂兵如前其樹棗季冬十二月衣樂兵如前其樹櫟論時令以待嗣藏之宜

句読本文校了

其兵弓孟秋七月西宮衣白綵撞洪鐘其樹楝其兵劍仲秋八月衣樂兵如前其樹柘季秋九月衣樂兵如前其樹槐孟冬十月北宮衣黑綵擊磬其樹檀其兵楯仲冬十一月北宮衣樂兵如前其樹棗季冬十二月衣樂兵如前其樹櫟論時令以待嗣藏之宜。

訓読校了

其の兵は弓。孟秋七月は西宮、白綵を衣、洪鐘を撞き、其の樹は楝、其の兵は劍。仲秋八月は衣・樂・兵前の如く、其の樹は柘。季秋九月は衣・樂・兵前の如く、其の樹は槐。孟冬十月は北宮、黑綵を衣、磬を擊ち、其の樹は檀、其の兵は楯。仲冬十一月は北宮、衣・樂・兵前の如く、其の樹は棗。季冬十二月は衣・樂・兵前の如く、其の樹は櫟。時令を論じて以て嗣藏の宜しきに待つ。

現代語訳校了

季夏六月の武器は弓。孟秋七月は西宮で白い彩衣を着て大鐘を鳴らし、樹木は楝、武器は剣。仲秋八月は衣・音楽・武器が前月と同じで樹木は柘。季秋九月も同じで樹木は槐。孟冬十月は北宮で黒い彩衣を着て磬を打ち、樹木は檀、武器は盾。仲冬十一月は衣・音楽・武器が前月と同じで樹木は棗。季冬十二月も衣・音楽・武器は前月と同じで樹木は櫟とする。こうして季節ごとの政令を論じ、次の年に適切に行えるよう備える。

GT-400238・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

周官云春爲牡陳弓爲前行夏爲方陳戟爲前行六月爲圓陳矛爲前行秋爲牝陳劍爲前行冬爲伏陳楯爲前行此武備亦依五氣也錄圖云君承木而王爲人青色脩頸美髮其民長身廣肩尚仁長皆象木也仁木性也善則時草豐茂嘉穀竝生鳥不胎傷

句読本文校了

周官云、春爲牡陳弓爲前行夏爲方陳戟爲前行六月爲圓陳矛爲前行秋爲牝陳劍爲前行冬爲伏陳楯爲前行此武備亦依五氣也。錄圖云、君承木而王爲人青色脩頸美髮其民長身廣肩尚仁長皆象木也。仁木性也。善則時草豐茂嘉穀竝生鳥不胎傷。

訓読校了

周官に云はく、春は牡陳を爲し弓を前行とし、夏は方陳を爲し戟を前行とし、六月は圓陳を爲し矛を前行とし、秋は牝陳を爲し劍を前行とし、冬は伏陳を爲し楯を前行とす。此の武備も亦五氣に依る。錄圖に云はく、君、木を承けて王たれば、人となり青色、脩頸美髮。其の民は長身廣肩にして仁を尚ぶ。長きは皆木に象る。仁は木の性なり。善ければ時の草豐茂し、嘉穀竝び生じ、鳥胎を傷はず。

現代語訳校了

『周官』では、春は牡陣で弓を前列、夏は方陣で戟を前列、六月は円陣で矛を前列、秋は牝陣で剣を前列、冬は伏陣で盾を前列とする。この武備も五気に従う。『録図』は、木の徳を受けて王となる君主は青い顔色、長い首、美しい髪をもち、民は長身で肩幅が広く仁を尊ぶとする。長い形は木を象り、仁は木の性である。政治が善ければ草が茂り、良い穀物がともに生え、鳥の胎も傷つかない。

GT-400239・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

木氣盛也失則列星滅色亂禾稼不登民多壓死木生而上出遇土傷則青而不得起故壓死承火而王爲人赤色大目離爲目故大視明也其人尖頭長腰疾敏尚孝長腰取兌敏疾火性離爲日日有烏烏者孝也善則賢人任用政頌平駮馬文狐至馬火畜善

句読本文校了

木氣盛也。失則列星滅色亂禾稼不登民多壓死木生而上出遇土傷則青而不得起故壓死承火而王爲人赤色大目離爲目故大視明也。其人尖頭長腰疾敏尚孝長腰取兌敏疾火性離爲日日有烏烏者孝也。善則賢人任用政頌平駮馬文狐至馬火畜善。

訓読校了

木氣盛んなればなり。失すれば列星滅し、色亂れ、禾稼登らず、民多く壓死す。木生じて上出するに土の傷に遇へば、青くして起つを得ざる故に壓死す。火を承けて王たれば、人となり赤色、大目。離は目と爲る故に大きく、視明らかなり。其の人尖頭長腰、疾敏にして孝を尚ぶ。長腰は兌を取り、敏疾は火の性なり。離は日と爲り、日に烏有り、烏は孝なり。善ければ賢人任用され、政頌平らか、駮馬・文狐至る。馬は火畜、善なれば、

現代語訳校了

これは木気が盛んだからである。政治を誤れば星々が光を失い色が乱れ、穀物は実らず、民の多くが圧死する。木は上へ伸びるが土に傷つけられると青いまま起き上がれないため圧死となる。火の徳を受けて王となる者は赤い顔色と大きな目をもつ。離は目を表すので視覚が明らかである。その人は尖った頭と長い腰をもち敏捷で孝を尊ぶ。長腰は兌、敏捷は火性に取り、離は太陽、太陽の烏は孝を表す。政治が善ければ賢人が任用され政が平らかになり、駮馬と文狐が現れる。馬は火の獣なので、

GT-400240・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

故來狐亦來失則夏霜日是火精失故變蝕雨土猝蔽光明之象承土而王表其首首大表土也其人廣肩大足好大笑戲儛廣大象土和故逸樂也善則甘露降醴泉竝應其善失則蟲蝗生天雨而常風霧亂皆土氣傷故表異也承金而王爲人白色差肩耳面方毛也

句読本文校了

故來狐亦來失則夏霜日是火精失故變蝕雨土猝蔽光明之象承土而王表其首首大表土也。其人廣肩大足好大笑戲儛廣大象土和故逸樂也。善則甘露降醴泉竝應其善失則蟲蝗生天雨而常風霧亂皆土氣傷故表異也。承金而王、爲人白色、差肩、耳・面方、毛也。

訓読校了

故に來り、狐も亦來る。失すれば夏に霜あり。日は是れ火精、失する故に變蝕し、土を雨らすは猝かに光明を蔽ふ象なり。土を承けて王たれば、其の首に表れ、首大なるは土を表す。其の人廣肩大足、好みて大笑し戲儛す。廣大は土に象り、和する故に逸樂す。善ければ甘露降り醴泉竝びに其の善に應ず。失すれば蟲蝗生じ、天雨り、常風あり、霧亂る。皆土氣傷つく故に異を表す。金を承けて王たれば、人となり白色、肩を差へ、耳・面方にして毛あり。

現代語訳校了

そのため駮馬が来て文狐も来る。政治を誤れば夏に霜が降る。太陽は火の精であり、火徳を失うと日食が起こり、土が降って急に光を覆う。土の徳を受けて王となる者は、その徴が頭に表れ、大きな頭が土を象徴する。肩幅と足が大きく、大笑いと舞を好む。広大さは土を象り、調和するので楽しみを好む。政治が善ければ甘露と甘い泉が応じて現れ、誤れば虫と蝗が生じ、天から雨が降り、常風が起こり、霧が乱れて、土気の損傷を示す。金の徳を受けて王となる者は白い顔色で、左右の肩の高さが違い、耳と顔は四角く、毛がある。

GT-400241・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

其民白頸長大尚義皆金氣也善則大貝明珠出外國遠貢珠貝金之用氣剛能制遠人故來貢獻失則火飛天鳴地坼河溢山崩邪人進蟲獸爲災火能剋金金有失故火伐之乃飛承水而王爲人黑色大耳坎爲耳主腎水氣故大其民聰耳

句読本文校了

其民白頸長大尚義皆金氣也。善則大貝明珠出外國遠貢珠貝金之用氣剛能制遠人故來貢獻失則火飛天鳴地坼河溢山崩邪人進蟲獸爲災火能剋金金有失故火伐之乃飛承水而王爲人黑色大耳坎爲耳主腎水氣故大其民聰耳。

訓読校了

其の民は白頸、長大にして義を尚ぶ。皆金氣なり。善ければ大貝・明珠出で、外國遠く珠貝を貢ず。金の用、氣剛くして能く遠人を制する故に來り貢獻す。失すれば火飛び、天鳴り、地坼け、河溢れ、山崩れ、邪人進み、蟲獸災を爲す。火能く金を剋し、金に失有る故に火之を伐ち、乃ち飛ぶ。水を承けて王たれば、人となり黑色、大耳。坎は耳と爲り腎水の氣を主る故に大なり。其の民は耳聰し。

現代語訳校了

その民は首が白く長大で義を尊び、すべて金気の特徴である。政治が善ければ大きな貝と明珠が現れ、外国が遠方から珠貝を貢ぐ。金気が剛く遠国を制するためである。誤れば火が飛び、雷鳴、地割れ、洪水、山崩れが起こり、邪人が進出し虫獣が災いをなす。火は金に勝つので、金徳に過失があると火が攻めて飛ぶ。水の徳を受けて王となる者は黒い顔色と大きな耳をもち、坎が耳と腎の水気をつかさどるため耳が大きく、民は聴覚が鋭い。

五行大義卷第四(卷尾)

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GT-400242・巻4
本文 校了
原文翻刻校了

坎水孔穴通故聰善則景雲至龜龍被文皆水氣爲祥也失則蟾蜍去月民多溺死常雨爲害皆水之憂也此竝明治政之道不越五行故以備釋 五行大義卷第四

句読本文校了

坎水孔穴通故聰善則景雲至龜龍被文皆水氣爲祥也。失則蟾蜍去月民多溺死常雨爲害皆水之憂也。此竝明治政之道不越五行故以備釋 五行大義卷第四。

訓読校了

坎水は孔穴通ずる故に聰し。善ければ景雲至り、龜龍文を被る。皆水氣の祥と爲す。失すれば蟾蜍月を去り、民多く溺死し、常雨害を爲す。皆水の憂なり。此れ竝びに治政の道が五行を越えざるを明かす。故に以て備さに釋す。五行大義卷第四。

現代語訳校了

坎と水は孔穴に通じるため、耳が聡い。政治が善ければめでたい雲が現れ、亀と龍が文様を帯び、いずれも水気の吉祥となる。誤れば月から蟾蜍が消え、民の多くが溺死し、長雨が害をなす。すべて水に関する憂いである。以上は政治の道が五行を外れないことを明らかにしたもので、詳しく解説した。『五行大義』巻第四。

GT-500001
表紙・巻頭 校了
原文翻刻校了

五行大義五

句読本文校了

五行大義、五。

訓読校了

五行大義、五。

現代語訳校了

『五行大義』第五冊。

巻第五題・撰者・目次

第5冊 第2画像を開く(新しいタブ)
GT-500002・巻5
本文 校了
原文翻刻校了

五行大義卷第五上儀同三司城陽郡開國公蕭吉撰第二十論諸神第二十一論五帝第二十二論諸官第二十三論諸人就此分爲二段第一者論人配五行第二者論人遊年年立第二十四論禽蟲就此分爲二段第一者論五靈第二者論三十六禽

句読本文校了

五行大義卷第五。上儀同三司、城陽郡開國公、蕭吉撰。第二十、論諸神。第二十一、論五帝。第二十二、論諸官。第二十三、論諸人。就此分爲二段。第一者、論人配五行。第二者、論人遊年年立。第二十四、論禽蟲。就此分爲二段。第一者、論五靈。第二者、論三十六禽。

訓読校了

五行大義卷第五。上儀同三司・城陽郡開國公、蕭吉撰す。第二十、諸神を論ず。第二十一、五帝を論ず。第二十二、諸官を論ず。第二十三、諸人を論ず。此に就きて分かちて二段と爲す。第一は、人の五行に配するを論ず。第二は、人の遊年・年立を論ず。第二十四、禽蟲を論ず。此に就きて分かちて二段と爲す。第一は、五靈を論ず。第二は、三十六禽を論ず。

現代語訳校了

『五行大義』巻第五。上儀同三司・城陽郡開国公の蕭吉が著した。第二十は諸神、第二十一は五帝、第二十二は諸官を論じる。第二十三の諸人論は、人と五行の配当、および人の遊年・年立の二段に分かれる。第二十四の禽虫論は、五霊と三十六禽の二段に分かれる。

GT-500003・巻5
本文 校了
原文翻刻校了

第二十論諸神諸神者靈智無方隱顯不測孔子曰陽之精氣爲神又曰陰陽不測之謂神

句読本文校了

第二十、論諸神。諸神者、靈智無方、隱顯不測。孔子曰、陽之精氣爲神。又曰、陰陽不測之謂神。

訓読校了

第二十、諸神を論ず。諸神は、靈智方無く、隱顯測られず。孔子曰く、「陽の精氣を神と爲す」と。又曰く、「陰陽測られざる、之を神と謂ふ」と。

現代語訳校了

第二十、諸神について論じる。神々の霊妙な知は一定の方所を持たず、隠れ現れる働きは測り知れない。孔子は「陽の精気を神とする」と述べ、また「陰陽の測り知れない働きを神という」と述べた。

GT-500004・巻5
本文 校了
原文翻刻校了

一解云神申也萬物皆有質礙屈而不申神是清虛之氣無所擁滯故曰申也語

句読本文校了

一解云、神申也。萬物皆有質礙、屈而不申。神是清虛之氣、無所擁滯、故曰申也。語、

訓読校了

一解に云ふ、「神は申なり。萬物は皆質礙有り、屈して申びず。神は是れ清虛の氣にして、擁滯する所無し。故に申と曰ふ」と。語るは、

現代語訳校了

一説には、神とは「申」、すなわち伸び通じることだという。万物には形質の妨げがあって屈し、伸びることができないが、神は清らかで虚なる気であり、塞がれ滞るところがないので「申」という。この神について述べると、

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