秋の辛と腥
第3冊 第9画像を開く(新しいタブ)原文翻刻校了
臭香者土之氣香爲主也許慎云土得其中和之氣故香也禮記云秋之日其臭腥其味辛西方殺氣腥也許慎云未熟之氣腥也西方金之氣象此味辛者物得辛乃萎殺也亦云故新之辛也故物皆盡新物已成故云新元命苞云陰害故辛殺義故
句読本文校了
臭香者、土之氣、香爲主也。許慎云、土得其中和之氣、故香也。禮記云、秋之日、其臭腥、其味辛。西方殺氣、腥也。許慎云、未熟之氣、腥也。西方金之氣、象此。味辛者、物得辛、乃萎殺也。亦云、故新之辛也。故物皆盡、新物已成、故云新。元命苞云、陰害故辛。殺義故
訓読校了
臭の香なる者は土の氣にして、香を主と爲すなり。許慎云はく、土、其の中和の氣を得、故に香なり。『禮記』に云はく、秋の日、其の臭は腥、其の味は辛なり。西方の殺氣は腥なり。許慎云はく、未だ熟せざるの氣は腥なり。西方金の氣、此を象る。味の辛なる者は、物、辛を得て乃ち萎殺すればなり。亦た云ふ、故新の辛なり。故物皆盡き、新物已に成る。故に新と云ふ。『元命苞』に云はく、陰害するが故に辛なり。殺の義なるが故に、
現代語訳校了
香りという臭いは土の気であり、香りを主とする。許慎は、土が中和の気を得るため香るという。『礼記』は、秋の日、その臭いは腥、その味は辛であるという。西方の殺気が腥である。許慎は、まだ熟していない気が腥であり、西方の金の気がこれを象るという。味が辛いのは、物が辛を得るとしおれて死滅するからである。また、辛は古い物から新しい物へ移ることを表す「辛」であるともいう。古い物がすべて尽き、新しい物がすでに成るので「新」という。『元命苞』は、陰が害するため「辛」であり、殺すという意味であるため――と説く。
