五行大義

五行大義

隋の蕭吉が五行思想の諸説を集成した『五行大義』全五巻について、土御門文書編纂所による原文翻刻・句読・訓読・現代語訳を公開します。

土御門文書編纂所による公開校訂版です。元禄十二年刊本の画像を底本とし、原文翻刻、独自句読、独自訓読、独自現代語訳を分離して公開します。

自家翻刻・訓読・現代語訳

公開版 gogyo-taigi-20260818-g4-v2・全964単位・23 / 49頁

GT-300032・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

臭香者土之氣香爲主也許慎云土得其中和之氣故香也禮記云秋之日其臭腥其味辛西方殺氣腥也許慎云未熟之氣腥也西方金之氣象此味辛者物得辛乃萎殺也亦云故新之辛也故物皆盡新物已成故云新元命苞云陰害故辛殺義故

句読本文校了

臭香者、土之氣、香爲主也。許慎云、土得其中和之氣、故香也。禮記云、秋之日、其臭腥、其味辛。西方殺氣、腥也。許慎云、未熟之氣、腥也。西方金之氣、象此。味辛者、物得辛、乃萎殺也。亦云、故新之辛也。故物皆盡、新物已成、故云新。元命苞云、陰害故辛。殺義故

訓読校了

臭の香なる者は土の氣にして、香を主と爲すなり。許慎云はく、土、其の中和の氣を得、故に香なり。『禮記』に云はく、秋の日、其の臭は腥、其の味は辛なり。西方の殺氣は腥なり。許慎云はく、未だ熟せざるの氣は腥なり。西方金の氣、此を象る。味の辛なる者は、物、辛を得て乃ち萎殺すればなり。亦た云ふ、故新の辛なり。故物皆盡き、新物已に成る。故に新と云ふ。『元命苞』に云はく、陰害するが故に辛なり。殺の義なるが故に、

現代語訳校了

香りという臭いは土の気であり、香りを主とする。許慎は、土が中和の気を得るため香るという。『礼記』は、秋の日、その臭いは腥、その味は辛であるという。西方の殺気が腥である。許慎は、まだ熟していない気が腥であり、西方の金の気がこれを象るという。味が辛いのは、物が辛を得るとしおれて死滅するからである。また、辛は古い物から新しい物へ移ることを表す「辛」であるともいう。古い物がすべて尽き、新しい物がすでに成るので「新」という。『元命苞』は、陰が害するため「辛」であり、殺すという意味であるため――と説く。

GT-300033・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

辛刺陰氣使其然也禮記云冬之日其味醎其臭朽朽者水之氣也若有若無言氣微也亦云水者受垢濁故其臭腐朽也許慎云朽爛之氣北方氣同此其味醎者北方物醎所以堅之也猶五味得醎乃堅也許慎云醎者銜也元命苞云醎者鎌鎌清也至寒之氣故使其清而醎

句読本文校了

辛刺。陰氣使其然也。禮記云、冬之日、其味醎、其臭朽。朽者、水之氣也。若有若無、言氣微也。亦云、水者受垢濁、故其臭腐朽也。許慎云、朽爛之氣、北方氣同此。其味醎者、北方物醎、所以堅之也。猶五味得醎乃堅也。許慎云、醎者銜也。元命苞云、醎者鎌。鎌、清也。至寒之氣、故使其清而醎。

訓読校了

〔前段の「殺義故」を受け〕辛は刺す。陰氣、其れをして然らしむるなり。『禮記』に云はく、冬の日、其の味は醎、其の臭は朽なり。朽なる者は、水の氣なり。有るが若く無きが若きは、氣の微なるを言ふなり。亦た云ふ、水なる者は垢濁を受く。故に其の臭は腐朽なり。許慎云はく、朽爛の氣は、北方の氣、此に同じ。其の味の醎なる者は、北方の物醎く、之を堅むる所以なり。猶ほ五味、醎を得て乃ち堅きがごとし。許慎云はく、醎なる者は銜なり。『元命苞』に云はく、醎なる者は鎌なり。鎌は清なり。至寒の氣、故に其れをして清くして醎ならしむ。

現代語訳校了

(前段の「殺すという意味であるため」を受けて)辛は刺す。そのようにさせるのは陰の気である。『礼記』は、冬の日、その味は醎、その臭いは朽であるという。朽は水の気である。有るようでも無いようでもあるというのは、気が微弱であることをいう。また、水は垢や濁りを受けるため、その臭いは腐り朽ちたものとなるという。許慎は、朽ち爛れた気は北方の気と同じだという。その味が醎いのは、北方の物が醎く、それによって物を堅くするためである。五味が醎を得てはじめて堅くなるのと同じである。許慎は、「醎」は「銜」であるという。『元命苞』は、「醎」は「鎌」であり、「鎌」は清らかという意味であるという。至寒の気が、それを清らかで醎いものにするのである。

食物・薬物の五味配当

第3冊 第10画像を開く(新しいタブ)
GT-300034・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

鄭玄云五味醯酸酒苦蜜甘薑辛鹽醎黃帝甲乙經言穀則米甘麻酸大豆醎麥苦黍辛一云稻米辛菓則棗甘李酸栗醎杏苦桃辛菜則葵甘韮酸藿醎薤苦蔥辛畜則牛甘犬酸彘醎羊苦雞辛本草云石則玉甘金辛雄黃苦曾青酸赤石脂醎草則茯苓甘桂心辛天門冬苦五味子酸玄參醎

句読本文校了

鄭玄云、五味醯酸酒苦蜜甘薑辛鹽醎黃帝甲乙經言穀則米甘麻酸大豆醎麥苦黍辛一云、稻米辛菓則棗甘李酸栗醎杏苦桃辛菜則葵甘韮酸藿醎薤苦蔥辛畜則牛甘犬酸彘醎羊苦雞辛本草云、石則玉甘金辛雄黃苦曾青酸赤石脂醎草則茯苓甘桂心辛天門冬苦五味子酸玄參醎。

訓読校了

鄭玄云はく、五味は、醯は酸、酒は苦、蜜は甘、薑は辛、鹽は醎。黃帝甲乙經に言ふ、穀は則ち米は甘、麻は酸、大豆は醎、麥は苦、黍は辛。一に云ふ、稻米は辛。菓は則ち棗は甘、李は酸、栗は醎、杏は苦、桃は辛。菜は則ち葵は甘、韮は酸、藿は醎、薤は苦、蔥は辛。畜は則ち牛は甘、犬は酸、彘は醎、羊は苦、雞は辛。本草に云はく、石は則ち玉は甘、金は辛、雄黃は苦、曾青は酸、赤石脂は醎。草は則ち茯苓は甘、桂心は辛、天門冬は苦、五味子は酸、玄參は醎。

現代語訳校了

鄭玄は五味を、醯は酸、酒は苦、蜜は甘、生姜は辛、塩は醎とする。『黄帝甲乙経』は、穀物では米を甘、麻を酸、大豆を醎、麦を苦、黍を辛とし、一説では稲米を辛とする。果物では棗を甘、李を酸、栗を醎、杏を苦、桃を辛とする。野菜では葵を甘、韮を酸、藿を醎、薤を苦、葱を辛とする。家畜では牛を甘、犬を酸、豚を醎、羊を苦、鶏を辛とする。『本草』は鉱物では玉を甘、金を辛、雄黄を苦、曾青を酸、赤石脂を醎とし、草薬では茯苓を甘、桂心を辛、天門冬を苦、五味子を酸、玄参を醎とする。

GT-300035・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

蟲則蜚零甘蚿𧋕辛蚺蛇苦伊威酸蜥蜴醎藥食之物例多且舉大略配五味如此皆是五行氣所生氣有偏故其味則別總而言之五穀則芒以配木散以配火房以配金莢以配水萃以配土芒大小麥之屬散糜黍之屬房胡麻之屬莢大小豆之屬萃稷粟之屬

句読本文校了

蟲則蜚零甘蚿𧋕辛蚺蛇苦伊威酸蜥蜴醎藥食之物例多且舉大略配五味如此皆是五行氣所生氣有偏故其味則別總而言之五穀則芒以配木散以配火房以配金莢以配水萃以配土芒大小麥之屬散糜黍之屬房胡麻之屬莢大小豆之屬萃稷粟之屬。

訓読校了

蟲は則ち蜚零は甘、蚿𧋕は辛、蚺蛇は苦、伊威は酸、蜥蜴は醎。藥食の物、例多し。且く大略を舉げて五味に配すること此の如し。皆是れ五行の氣の生ずる所なり。氣に偏り有り、故に其の味則ち別なり。總じて之を言へば、五穀は則ち芒を以て木に配し、散を以て火に配し、房を以て金に配し、莢を以て水に配し、萃を以て土に配す。芒は大小麥の屬、散は糜黍の屬、房は胡麻の屬、莢は大小豆の屬、萃は稷粟の屬なり。

現代語訳校了

虫類では、蜚零は甘、蚿𧋕は辛、蚺蛇は苦、伊威は酸、蜥蜴は醎である。薬や食物には例が多いので、ここでは大略を挙げて五味に配した。これらはすべて五行の気から生じ、気に偏りがあるため味も異なる。総じて五穀では、芒を木、散を火、房を金、莢を水、萃を土に配する。芒は大麦・小麦の類、散は糜・黍の類、房は胡麻の類、莢は大豆・小豆の類、萃は稷・粟の類である。

GT-300036・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

芒者取其鋒芒纖長象木生出地如鋒芒也散舒也象火氣溫煖物舒散也房方也象金裁割體方正也莢狹也象水流長而狹也萃聚也象萬物皆聚於土乃爲用也五菓則子以配木核以配火皮以配金殼

句読本文校了

芒者、取其鋒芒纖長、象木生出地如鋒芒也。散、舒也。象火氣溫煖、物舒散也。房、方也。象金裁割、體方正也。莢、狹也。象水流長而狹也。萃、聚也。象萬物皆聚於土、乃爲用也。五菓則、子以配木、核以配火、皮以配金、殼

訓読校了

芒なる者は、其の鋒芒纖長なるを取り、木の生じて地を出づること鋒芒の如きを象るなり。散は舒なり。火氣溫煖にして、物舒散するを象るなり。房は方なり。金の裁割して、體方正なるを象るなり。莢は狹なり。水の流れ長くして狹きを象るなり。萃は聚なり。萬物皆土に聚まり、乃ち用を爲すを象るなり。五菓は則ち、子を以て木に配し、核を以て火に配し、皮を以て金に配し、殼は――

現代語訳校了

芒という区分は、その穂先が細長いことを取り、木が生じて地上へ出る姿が穂先のようであることを象る。散は広がるという意味で、火の気が温暖で、物が伸び広がることを象る。房は方という意味で、金が裁断し、形が方正になることを象る。莢は狭という意味で、水の流れが長く狭いことを象る。萃は集まるという意味で、万物がすべて土に集まり、そこで用をなすことを象る。五種の果実については、子を木に、核を火に、皮を金に配し、殻は――

GT-300037・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

以配水房以配土子棃㮈之屬核桃李之屬皮柑橘之屬殼胡桃栗之屬房蒲陶之屬子取其含潤如木生光潤子實茂盛核取其在肉內不堪食如火陰在內無所堪容皮取其厚急如金氣衰老物至西方而急縮也殼取其肉在內堪食如水陽在內堪能容納也

句読本文校了

以配水、房以配土。子、棃㮈之屬。核、桃李之屬。皮、柑橘之屬。殼、胡桃栗之屬。房、蒲陶之屬。子取其含潤、如木生光潤、子實茂盛。核取其在肉內不堪食、如火陰在內、無所堪容。皮取其厚急、如金氣衰老、物至西方而急縮也。殼取其肉在內堪食、如水陽在內、堪能容納也。

訓読校了

〔前段の殼を〕以て水に配し、房を以て土に配す。子は棃㮈の屬、核は桃李の屬、皮は柑橘の屬、殼は胡桃栗の屬、房は蒲陶の屬なり。子は其の潤ひを含むを取り、木の生じて光潤し、子實茂盛なるが如し。核は其の肉內に在りて食ふに堪へざるを取り、火陰の內に在りて、堪へ容るる所無きが如し。皮は其の厚く急なるを取り、金氣衰老し、物西方に至りて急縮するが如きなり。殼は其の肉內に在りて食ふに堪ふるを取り、水陽の內に在りて、能く容納するに堪ふるが如きなり。

現代語訳校了

(前段の殻を)水に配し、房を土に配する。子は梨・㮈の類、核は桃・李の類、皮は柑橘の類、殻は胡桃・栗の類、房は葡萄の類である。子は潤いを含む点を取り、木が生じてつややかになり、その実が盛んに茂る姿に似る。核は果肉の内にあって食べることができない点を取り、火の陰が内にあって、物を受け入れる余地がない姿に似る。皮は厚く引き締まる点を取り、金の気が衰老し、物が西方に至って急に縮む姿に似る。殻は食べられる果肉が内にある点を取り、水の陽が内にあって、物を十分に受け入れられる姿に似る。

GT-300038・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

房取其結聚如土物皆聚也此則總論穀菓以配五味則略如前釋月令云春食麥與羊麥有孚甲故屬木羊火畜春氣猶寒以此安性夏食菽與雞菽有孚甲而堅合於水雞屬木畜故爲熱時所食中央食稷與牛稷是穀之長牛是土畜以其甘和故象於時

句読本文校了

房取其結聚如土物皆聚也。此則總論穀菓以配五味則略如前釋月令云、春食麥與羊麥有孚甲故屬木羊火畜春氣猶寒以此安性夏食菽與雞菽有孚甲而堅合於水雞屬木畜故爲熱時所食中央食稷與牛稷是穀之長牛是土畜以其甘和故象於時。

訓読校了

房は其の結聚するを取り、土に物皆聚まるが如きなり。此れ則ち穀菓を總論して五味に配すること、則ち略前釋の如し。月令に云はく、春は麥と羊とを食ふ。麥は孚甲有る故に木に屬し、羊は火畜なり。春氣猶ほ寒し、此を以て性を安んず。夏は菽と雞とを食ふ。菽は孚甲有りて堅く、水に合し、雞は木畜に屬す。故に熱時に食ふ所と爲す。中央は稷と牛とを食ふ。稷は是れ穀の長、牛は是れ土畜なり。其の甘和を以て、故に時に象る。

現代語訳校了

房は実が集まって結ぶ点を取り、万物が土に集まる姿に似る。以上は穀物と果物を五味に配した総論で、概略は前の説明のとおりである。『月令』によれば、春は麦と羊を食べる。麦は甲をかぶる形があるため木に属し、羊は火の家畜である。春気はまだ寒いため、これで性を安定させる。夏は豆と鶏を食べる。豆は甲をかぶり堅く水に合し、鶏は木の家畜なので暑い時に食べる。中央には稷と牛を食べる。稷は穀物の長、牛は土の家畜で、その甘く調和した性質が時に対応する。

GT-300039・巻3
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原文翻刻校了

秋食麻與犬麻屬金犬亦金畜故從秋也冬食黍與豕黍舒散屬火豕水畜兼其水火以爲冬食此之五食義有不同春猶寒食溫夏方熱食寒此意可解者甘味和故隨時適用此亦可解秋冬兩食此應宜熱所以不熱其故何也

句読本文校了

秋食麻與犬麻屬金犬亦金畜故從秋也。冬食黍與豕黍舒散屬火豕水畜兼其水火以爲冬食此之五食義有不同春猶寒食溫夏方熱食寒此意可解者甘味和故隨時適用此亦可解秋冬兩食此應宜熱所以不熱其故何也。

訓読校了

秋は麻と犬とを食ふ。麻は金に屬し、犬も亦た金畜なり。故に秋に從ふなり。冬は黍と豕とを食ふ。黍は舒散して火に屬し、豕は水畜なり。其の水火を兼ねて以て冬食と爲す。此の五食の義、同じからず。春は猶ほ寒くして溫を食ひ、夏は方に熱くして寒を食ふ。此の意は解すべし。甘味は和する故に時に隨ひて適用す。此も亦た解すべし。秋冬の兩食は、此れ應に熱に宜しかるべし。所以に熱ならざるは、其の故何ぞや。

現代語訳校了

秋は麻と犬を食べる。麻は金に属し、犬も金の家畜なので秋に従う。冬は黍と豚を食べる。黍は広がる性質で火に属し、豚は水の家畜なので、水火を兼ねて冬食とする。この五季の食の意味は同じではない。春はまだ寒いので温食を、夏は暑いので寒食を取ることは理解できる。甘味は調和するため時に応じて用いることも理解できる。しかし秋冬の二食は熱いものが適するはずなのに熱くないのは、なぜか。

陰陽の開閉による説明

第3冊 第11画像を開く(新しいタブ)
GT-300040・巻3
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若依蔡邕解直云食味相宜則無復疑若依鄭解則誠未盡今廣鄭言少陽太陽其氣舒散少陰太陰其氣斂閉故河上公解老子言躁氣在上陽氣伏於下所以故寒靜氣在上陰氣伏於下所以故熱人體陰陽義亦如是春夏舒散陽氣開發宜以溫食用和陰氣秋冬閉斂陽氣在內宜用寒

句読本文校了

若依蔡邕解、直云、食味相宜、則無復疑。若依鄭解、則誠未盡。今廣鄭言。少陽太陽、其氣舒散。少陰太陰、其氣斂閉。故河上公解老子言、躁氣在上、陽氣伏於下、所以故寒。靜氣在上、陰氣伏於下、所以故熱。人體陰陽、義亦如是。春夏舒散、陽氣開發、宜以溫食、用和陰氣。秋冬閉斂、陽氣在內、宜用寒。

訓読校了

若し蔡邕の解に依らば、直ちに云ふ、食味相宜しければ、則ち復た疑ひ無し。若し鄭の解に依らば、則ち誠に未だ盡くさず。今、鄭の言を廣む。少陽・太陽は、其の氣舒散す。少陰・太陰は、其の氣斂閉す。故に河上公の老子を解するに言ふ、躁氣上に在れば、陽氣下に伏す、是の故に寒し。靜氣上に在れば、陰氣下に伏す、是の故に熱し。人體の陰陽の義も亦た是の如し。春夏は舒散して陽氣開發し、宜しく溫食を以て陰氣を和すべし。秋冬は閉斂して陽氣內に在り、宜しく寒を用ふべし。

現代語訳校了

蔡邕の解釈に従えば、食物と味が互いに適合すると述べるだけで、もはや疑問はない。鄭玄の解釈に従うなら、説明はまだ尽くされていないので、ここで鄭玄の説を敷衍する。少陽・太陽の気は伸び広がり、少陰・太陰の気は収斂して閉じる。河上公の『老子』注は、躁気が上にあれば陽気が下に伏すので寒く、静気が上にあれば陰気が下に伏すので熱いという。人体の陰陽も同様で、春夏は陽気が開き広がるため温食で陰気を調和させ、秋冬は閉じ収まり陽気が内にあるため寒性のものを用いるべきである。

GT-300041・巻3
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原文翻刻校了

食以調陽氣冬兼水火又異於秋正以藏閉之時事甚於秋故均以水火也今又取甲乙以竝鄭義微有乖張甲乙以羊麥俱苦皆是火味鄭玄云羊火畜同以麥屬木此是取其孚甲之形用溫還同甲乙以菽醎雞辛鄭玄云菽合水同雞屬木異此取其將旦而鳴近寅木故

句読本文校了

食以調陽氣。冬兼水火、又異於秋。正以藏閉之時、事甚於秋、故均以水火也。今又取甲乙、以竝鄭義、微有乖張。甲乙以羊麥俱苦、皆是火味。鄭玄云、羊火畜同、以麥屬木。此是取其孚甲之形、用溫還同。甲乙以菽醎雞辛。鄭玄云、菽合水同、雞屬木異。此取其將旦而鳴、近寅木故。

訓読校了

食を以て陽氣を調ふ。冬は水火を兼ね、又秋に異なる。正に藏閉の時、其の事秋より甚だしきを以て、故に均しく水火を以てするなり。今又、甲乙を取りて鄭義に竝ぶるに、微しく乖張有り。甲乙は羊と麥とを俱に苦とし、皆是れ火味なり。鄭玄云はく、羊を火畜とするは同じく、麥を以て木に屬せしむ。此れ是れ其の孚甲の形を取り、溫を用ふることは還た同じ。甲乙は菽を醎、雞を辛とす。鄭玄云はく、菽を水に合するは同じく、雞を木に屬せしむるは異なる。此れ其の將に旦ならんとして鳴き、寅木に近きを取るが故なり。

現代語訳校了

食によって陽気を調える。冬は水と火を兼ね、秋とは異なる。蔵し閉じる時期であり、その働きが秋より甚だしいため、水と火を均しく用いるのである。次に『甲乙経』の説を鄭玄の説と並べると、少し食い違いがある。『甲乙経』は羊と麦をともに苦味、すなわち火味とする。鄭玄は羊を火の家畜とする点では同じだが、麦を木に属させる。ただし、麦が殻をかぶる形を取り、温性を用いる点はやはり同じである。『甲乙経』は豆を醎味、鶏を辛味とする。鄭玄は豆を水に合わせる点では同じだが、鶏を木に属させる点が異なる。これは鶏が夜明け近くに鳴き、寅すなわち木に近いことを取るからである。

鶏・麻犬・黍豕の配当

第3冊 第12画像を開く(新しいタブ)
GT-300042・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

又振羽翼有陽性也則是酉鳥屬金爲實甲乙以麻犬俱酸鄭以麻犬俱金酸是木味用調金氣以少陽之氣味調少陰之氣理則可通金還調金恐乖和適甲乙以黍辛彘醎鄭玄云彘合水同黍屬火異此言黍色赤性熱故以爲火若依鄭意以如前解

句読本文校了

又振羽翼、有陽性也。則是酉鳥屬金爲實。甲乙以麻犬俱酸、鄭以麻犬俱金。酸是木味、用調金氣。以少陽之氣味、調少陰之氣、理則可通。金還調金、恐乖和適。甲乙以黍辛、彘醎。鄭玄云、彘合水同、黍屬火異。此言黍色赤、性熱、故以爲火。若依鄭意、以如前解。

訓読校了

又、羽翼を振ひ、陽性有るなり。則ち是れ酉の鳥、金に屬するを實と爲す。甲乙は麻と犬とを俱に酸とし、鄭は麻と犬とを俱に金とす。酸は是れ木味、用て金氣を調ふ。少陽の氣味を以て少陰の氣を調ふは、理則ち通ずべし。金を還た金にて調ふは、和適に乖くを恐る。甲乙は黍を辛、彘を醎とす。鄭玄云はく、彘を水に合するは同じく、黍を火に屬せしむるは異なる。此れ黍の色赤く、性熱なるを言ふ。故に以て火と爲す。若し鄭の意に依らば、前解の如し。

現代語訳校了

また鶏は羽を振るわせ、陽の性質を持つ。しかし、酉に当たる鳥で金に属するというのが実際の配当である。『甲乙経』は麻と犬をともに酸味とし、鄭玄は麻と犬をともに金に属させる。酸は木の味であり、それによって金気を調える。少陽の気味で少陰の気を調えるのは理が通るが、金を再び金で調えるのは調和に反するおそれがある。『甲乙経』は黍を辛味、豚を醎味とする。鄭玄は豚を水に合わせる点では同じだが、黍を火に属させる点が異なる。これは黍の色が赤く性質が熱いため、火とするのである。鄭玄の意に従えば、前の説明のとおりである。

GT-300043・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

若以甲乙明堂月令之意夏食合冷者欲令調炎暑鬱毒之氣冬食亦寒者去藏中伏熱春寒用溫二意不殊秋以少陽和於少陰爲有殺氣故以生味相補鄭全乖越周禮天官云凡和春多酸夏多苦秋多辛冬多醎調以滑甘

句読本文校了

若以甲乙明堂月令之意夏食合冷者欲令調炎暑鬱毒之氣冬食亦寒者去藏中伏熱春寒用溫二意不殊秋以少陽和於少陰爲有殺氣故以生味相補鄭全乖越周禮天官云、凡和春多酸夏多苦秋多辛冬多醎調以滑甘。

訓読校了

若し甲乙明堂月令の意を以てせば、夏食の冷に合するは、炎暑鬱毒の氣を調へしめんと欲すればなり。冬食も亦た寒なるは、藏中の伏熱を去る。春寒くして溫を用ふると、二意殊ならず。秋は少陽を以て少陰に和し、殺氣有るが爲に、故に生味を以て相補ふ。鄭は全く乖越す。周禮天官に云はく、凡そ和するに、春は酸多く、夏は苦多く、秋は辛多く、冬は醎多し。滑甘を以て調ふ。

現代語訳校了

『甲乙経』と明堂月令の意によれば、夏に冷たい食物を取るのは炎暑の鬱毒を調えるためであり、冬にも寒食を取るのは臓中に伏した熱を去るためである。春の寒さに温食を用いるのと意図は同じである。秋は少陽で少陰を和らげ、殺気があるため生の味で補う。鄭玄説はこれと大きく異なる。『周礼』天官は、調味では春に酸、夏に苦、秋に辛、冬に醎を多くし、滑と甘で調えるという。

GT-300044・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

解有兩家一云宜從時氣春食須多酸夏食須多苦一云多者過也春食過酸宜減其醎味夏食過苦宜減其酸味是以後句云調以滑甘今依前解四時之味各隨時氣所當故逐時醎苦酸辛養體之宜土既居中總戴四財是以四時味兼須甘味以調之又云會膳食之所宜牛

句読本文校了

解有兩家一云、宜從時氣春食須多酸夏食須多苦一云、多者過也。春食過酸宜減其醎味夏食過苦宜減其酸味是以後句云、調以滑甘今依前解四時之味各隨時氣所當故逐時醎苦酸辛養體之宜土既居中總戴四財是以四時味兼須甘味以調之又云、會膳食之所宜牛。

訓読校了

解に兩家有り。一に云はく、宜しく時氣に從ふべし。春食は須らく酸多く、夏食は須らく苦多かるべし。一に云はく、多は過なり。春食、酸に過ぐれば宜しく其の醎味を減ずべし。夏食、苦に過ぐれば宜しく其の酸味を減ずべし。是を以て後句に滑甘を以て調ふと云ふ。今前解に依る。四時の味、各おの時氣の當たる所に隨ふ。故に時を逐ひて醎苦酸辛、體を養ふの宜しきなり。土既に中に居り、總じて四財を戴く。是を以て四時の味、兼ねて甘味を須ち、以て之を調ふ。又云ふ、膳食の宜しき所を會するに、牛は……。

現代語訳校了

解釈には二説ある。一説は季節の気に従い、春は酸を、夏は苦を多く取るという。もう一説は「多」を過剰の意とし、春に酸が過ぎれば醎味を減らし、夏に苦が過ぎれば酸味を減らすという。そのため後句に滑と甘で調えるとある。ここでは前説に従い、四季の味は各季節の気に応じるので、醎・苦・酸・辛を季節ごとに用いるのが養生に適する。土は中央にいて四つの資材を統括するので、四季の味には甘味も加えて調える。また膳食の適合をまとめると、牛には……と続く。

膳食・薬味と過食の害一

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GT-300045・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

宜稌稌稻也羊宜黍豕宜稷犬宜梁鳥宜麥魚宜菰菰彫胡也凡君子之食恒放焉凡藥酸養骨苦養氣甘養肉辛養筋醎養脈此竝相扶之義河圖云人食無極醎使腎氣盛心氣衰令人發狂喜衂吐血心神不定無極辛使肺氣盛肝氣衰令人懦怯悲愁目盲髮白

句読本文校了

宜稌。稌、稻也。羊宜黍、豕宜稷、犬宜梁、鳥宜麥、魚宜菰。菰、彫胡也。凡君子之食、恒放焉。凡藥、酸養骨、苦養氣、甘養肉、辛養筋、醎養脈。此竝相扶之義。河圖云、人食無極醎、使腎氣盛、心氣衰、令人發狂、喜衂、吐血、心神不定。無極辛、使肺氣盛、肝氣衰、令人懦怯悲愁、目盲、髮白。

訓読校了

牛には稌を宜しとす。稌は稻なり。羊には黍を宜しとし、豕には稷を宜しとし、犬には梁を宜しとし、鳥には麥を宜しとし、魚には菰を宜しとす。菰は彫胡なり。凡そ君子の食、恒に焉に放ふ。凡そ藥は、酸は骨を養ひ、苦は氣を養ひ、甘は肉を養ひ、辛は筋を養ひ、醎は脈を養ふ。此れ竝びに相扶くるの義なり。河圖に云はく、人、極まり無く醎を食へば、腎氣を盛んにし、心氣を衰へしめ、人をして狂を發し、喜んで衂し、血を吐き、心神定まらざらしむ。極まり無く辛を食へば、肺氣を盛んにし、肝氣を衰へしめ、人をして懦怯悲愁し、目盲ひ、髮白からしむ。

現代語訳校了

牛には稌、すなわち稲がよく、羊には黍、豚には稷、犬には梁、鳥には麦、魚には菰、すなわち彫胡がよい。君子の食事は常にこの例にならう。薬物については、酸味は骨、苦味は気、甘味は肉、辛味は筋、醎味は脈を養い、これらは互いに助け合う関係にある。『河図』は、醎味を際限なく食べると腎気が盛んになって心気が衰え、人を発狂させ、鼻血が出やすくなり、血を吐き、精神が安定しなくなるという。また辛味を際限なく食べると肺気が盛んになって肝気が衰え、人を臆病で悲しみ憂えるようにし、目を見えなくし、髪を白くするという。

過食の害二と五味の入臓

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GT-300046・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

無極甘使脾氣盛腎氣衰令人癡淫泄精腰背痛利膿血無極苦使心氣盛肺氣衰令人果敢輕死欬逆胸滿無極酸使肝氣盛脾氣衰令人穀不消化喑聾癥固此五藏相制剋之義黃帝養生經云酸入肝辛入肺苦入心甘入脾醎入腎

句読本文校了

無極甘、使脾氣盛、腎氣衰、令人癡淫、泄精、腰背痛、利膿血。無極苦、使心氣盛、肺氣衰、令人果敢輕死、欬逆、胸滿。無極酸、使肝氣盛、脾氣衰、令人穀不消化、喑聾、癥固。此五藏相制剋之義。黃帝養生經云、酸入肝、辛入肺、苦入心、甘入脾、醎入腎。

訓読校了

極まり無く甘を食へば、脾氣を盛んにし、腎氣を衰へしめ、人をして癡淫ならしめ、精を泄らし、腰背痛み、膿血を利せしむ。極まり無く苦を食へば、心氣を盛んにし、肺氣を衰へしめ、人をして果敢にして死を輕んぜしめ、欬逆し、胸滿たしむ。極まり無く酸を食へば、肝氣を盛んにし、脾氣を衰へしめ、人をして穀を消化せざらしめ、喑聾、癥固ならしむ。此れ五藏相ひ制剋するの義なり。黃帝養生經に云はく、酸は肝に入り、辛は肺に入り、苦は心に入り、甘は脾に入り、醎は腎に入る。

現代語訳校了

甘味を際限なく食べると脾気が盛んになって腎気が衰え、人を愚鈍で淫らにし、精を漏らさせ、腰や背を痛ませ、膿血を下させる。苦味を際限なく食べると心気が盛んになって肺気が衰え、人を果敢にして死を軽んじさせ、咳が逆上し、胸が張って苦しくなる。酸味を際限なく食べると肝気が盛んになって脾気が衰え、人に穀物を消化できなくさせ、声が出ないこと、耳が聞こえないこと、腹中の固いしこりを生じさせる。これは五臓が互いに制し剋する関係である。『黄帝養生経』は、酸は肝、辛は肺、苦は心、甘は脾、醎は腎に入るという。

GT-300047・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

病在筋無食酸病在氣無食辛病在骨無食醎病在血無食苦病在肉無食甘口嗜而飲食之不可多也必自賊也故名五賊又云肝病禁辛心病禁醎脾病禁酸肺病禁苦腎病禁甘此皆所惡之味故禁又云肺病宜食糯米飯牛肉棗葵心病宜食麥羊肉杏薤

句読本文校了

病在筋無食酸病在氣無食辛病在骨無食醎病在血無食苦病在肉無食甘口嗜而飲食之不可多也。必自賊也。故名五賊又云、肝病禁辛心病禁醎脾病禁酸肺病禁苦腎病禁甘此皆所惡之味故禁又云、肺病宜食糯米飯牛肉棗葵心病宜食麥羊肉杏薤。

訓読校了

病、筋に在らば酸を食ふこと無かれ。病、氣に在らば辛を食ふこと無かれ。病、骨に在らば醎を食ふこと無かれ。病、血に在らば苦を食ふこと無かれ。病、肉に在らば甘を食ふこと無かれ。口嗜みて之を飲食するも、多かるべからず。必ず自ら賊ふなり。故に五賊と名づく。又云はく、肝病は辛を禁じ、心病は醎を禁じ、脾病は酸を禁じ、肺病は苦を禁じ、腎病は甘を禁ず。此れ皆惡む所の味、故に禁ず。又云はく、肺病には宜しく糯米飯、牛肉、棗、葵を食ふべし。心病には宜しく麥、羊肉、杏、薤を食ふべし。

現代語訳校了

病が筋にあれば酸、気にあれば辛、骨にあれば醎、血にあれば苦、肉にあれば甘を食べてはならない。口が好む味でも多食すれば必ず自分を害するので五賊という。さらに肝病では辛、心病では醎、脾病では酸、肺病では苦、腎病では甘を禁じる。いずれも各臓が嫌う味だからである。また肺病には糯米飯・牛肉・棗・葵、心病には麦・羊肉・杏・薤を食べるのがよい。

GT-300048・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

腎病宜食大豆黃黍彘肉藿肝病宜食麻犬肉李韭脾病宜食雞肉桃黍蔥此五宜食者肝心腎三藏實故各以其本味補之脾肺虛故以其子母相養者也春秋潛潭巴云五味生五藏者醎生肝酸生心苦生脾甘生肺辛生腎

句読本文校了

腎病宜食大豆黃黍彘肉藿肝病宜食麻犬肉李韭脾病宜食雞肉桃黍蔥此五宜食者肝心腎三藏實故各以其本味補之脾肺虛故以其子母相養者也。春秋潛潭巴云、五味生五藏者醎生肝酸生心苦生脾甘生肺辛生腎。

訓読校了

腎病には宜しく大豆、黃黍、彘肉、藿を食ふべし。肝病には宜しく麻、犬肉、李、韭を食ふべし。脾病には宜しく雞肉、桃、黍、蔥を食ふべし。此の五つ宜しく食ふべき者は、肝心腎の三藏實する故に、各おの其の本味を以て之を補ふ。脾肺は虛する故に、其の子母を以て相養ふ者なり。春秋潛潭巴に云はく、五味の五藏を生ずるは、醎は肝を生じ、酸は心を生じ、苦は脾を生じ、甘は肺を生じ、辛は腎を生ず。

現代語訳校了

腎病には大豆・黄黍・豚肉・藿、肝病には麻・犬肉・李・韭、脾病には鶏肉・桃・黍・葱を食べるのがよい。これら五臓に適する食物については、肝・心・腎の三臓は「実」とされるため、それぞれ本来の味で補い、脾・肺は「虚」とされるため、子母の相生関係によって養う。『春秋潜潭巴』は、五味が五臓を生じる関係を、醎は肝、酸は心、苦は脾、甘は肺、辛は腎を生じるとする。

GT-300049・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

養生經云肝色青宜食醎稻米牛肉棗心色赤宜食酸犬肉李肺色白宜食甘麥

句読本文校了

養生經云、肝色青宜食醎稻米牛肉棗心色赤宜食酸犬肉李肺色白宜食甘麥。

訓読校了

養生經に云はく、肝の色は青、宜しく醎、稻米、牛肉、棗を食ふべし。心の色は赤、宜しく酸、犬肉、李を食ふべし。肺の色は白、宜しく甘、麥を食ふべし。

現代語訳校了

『養生経』は、肝の色は青なので醎味・稲米・牛肉・棗を、心の色は赤なので酸味・犬肉・李を、肺の色は白なので甘味・麦を食べるのがよいとする。

体色の食と五味の走行

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GT-300050・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

羊肉杏脾色黃宜食苦大豆豕肉粟腎色黑宜食辛黍雞肉此五食皆以所生能養其子也又云五味之入口也各有所走各有所病酸走筋多食之令人癃醎走血多食之令人渴辛走氣多食之令人洞心苦走骨多食之令人攣甘走皮多食之令人惡心

句読本文校了

羊肉、杏。脾色黃、宜食苦、大豆、豕肉、粟。腎色黑、宜食辛、黍、雞肉。此五食、皆以所生能養其子也。又云、五味之入口也、各有所走、各有所病。酸走筋、多食之令人癃。醎走血、多食之令人渴。辛走氣、多食之令人洞心。苦走骨、多食之令人攣。甘走皮、多食之令人惡心。

訓読校了

羊肉、杏。脾の色は黃、宜しく苦、大豆、豕肉、粟を食ふべし。腎の色は黑、宜しく辛、黍、雞肉を食ふべし。此の五食、皆生ずる所を以て能く其の子を養ふなり。又云はく、五味の口に入るや、各おの走る所有り、各おの病む所有り。酸は筋に走り、多く之を食へば人をして癃ならしむ。醎は血に走り、多く之を食へば人をして渴せしむ。辛は氣に走り、多く之を食へば人をして心を洞ならしむ。苦は骨に走り、多く之を食へば人をして攣らしむ。甘は皮に走り、多く之を食へば人をして惡心せしむ。

現代語訳校了

前頁から続く羊肉と杏は、肺に適する食物である。脾の色は黄で、苦味・大豆・豚肉・粟を食べるのがよい。腎の色は黒で、辛味・黍・鶏肉を食べるのがよい。これら五臓向けの食物はすべて、その臓を生じる母行に配された食物によって、子に当たる臓を養う関係に基づく。また五味は口に入ると、それぞれ向かう部位と引き起こす病がある。酸は筋に向かい、多食すれば排尿困難にする。鹹は血に向かい、多食すれば渇かせる。辛は気に向かい、多食すれば心中を空虚にする。苦は骨に向かい、多食すればひきつらせる。甘は皮に向かい、多食すれば吐き気を催させる。

GT-300051・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

辛散酸收甘緩苦堅醎濡五穀爲養五菓爲助五畜爲益氣味合而服之隨四時五藏所宜也又云人黃色宜甘青色宜酸黑色宜醎赤色宜苦白色宜辛此皆依本體所宜家語曰食水者善游能寒食土者無心不息食木者多力不治食草者善走而愚食桑者有緒爲蛾

句読本文校了

辛散酸收甘緩苦堅醎濡五穀爲養五菓爲助五畜爲益氣味合而服之隨四時五藏所宜也。又云、人黃色宜甘青色宜酸黑色宜醎赤色宜苦白色宜辛此皆依本體所宜家語曰、食水者善游能寒食土者無心不息食木者多力不治食草者善走而愚食桑者有緒爲蛾。

訓読校了

辛は散じ、酸は收め、甘は緩め、苦は堅め、醎は濡す。五穀を養と爲し、五菓を助と爲し、五畜を益と爲す。氣味合して之を服し、四時五藏の宜しき所に隨ふなり。又云はく、人、黃色は甘に宜しく、青色は酸に宜しく、黑色は醎に宜しく、赤色は苦に宜しく、白色は辛に宜し。此れ皆本體の宜しき所に依る。家語に曰く、水を食ふ者は善く游ぎ、能く寒にし、土を食ふ者は心無く、息せず、木を食ふ者は力多くして治まらず、草を食ふ者は善く走りて愚、桑を食ふ者は緒有りて蛾と爲る。

現代語訳校了

辛は発散させ、酸は収斂させ、甘は緩め、苦は堅め、醎は潤す。五穀は養い、五果は助け、五畜は益となる。気と味を合わせ、四季と五臓に適するよう服用する。人の色が黄なら甘、青なら酸、黒なら醎、赤なら苦、白なら辛が適し、これは身体本来の適性による。『家語』は、水を食べるものは泳ぎが巧みで寒さに耐え、土を食べるものは心がなく、呼吸もしない。木を食べるものは力が強いが従順ではなく、草を食べるものは走るのが巧みだが愚かで、桑を食べるものは糸を紡いで蛾になるという。

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