五行大義

五行大義

隋の蕭吉が五行思想の諸説を集成した『五行大義』全五巻について、土御門文書編纂所による原文翻刻・句読・訓読・現代語訳を公開します。

土御門文書編纂所による公開校訂版です。元禄十二年刊本の画像を底本とし、原文翻刻、独自句読、独自訓読、独自現代語訳を分離して公開します。

自家翻刻・訓読・現代語訳

公開版 gogyo-taigi-20260818-g4-v2・全964単位・21 / 49頁

GT-200197・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

此是相生反相害相害反相生者鑽木出火而雲雨掣電相因而有此是相害反相生也水本害火膏油漬注燈火益明亦是相害反相生也

句読本文校了

此是相生反相害。相害反相生者、鑽木出火、而雲雨掣電、相因而有。此是相害反相生也。水本害火、膏油漬注、燈火益明、亦是相害反相生也。

訓読校了

これは相生して反って相害するなり。相害して反って相生するとは、木を鑽りて火を出し、雲雨に電を掣くは、相い因りて有る、これ相害して反って相生するなり。水は本より火を害すれども、膏油を漬注すれば、灯火ますます明らかなり。またこれ相害して反って相生するなり。

現代語訳校了

以上は、相生がかえって相害となる例である。これに対して相害がかえって相生となる例としては、木を鑽って火を起こすことや、雲雨の中で稲妻が走ることがあり、いずれも互いの作用によって生じる。これが相害が反転して相生となる場合である。また水はもともと火を害するが、膏油を灯心にしみ込ませれば、灯火はいっそう明るくなる。これも相害がかえって相生となる例である。

GT-200198・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

陰陽五行萬物所存吉凶之應各以其類言之或吉中有凶凶中有吉凶則視其所救吉則觀其所害凶而有救不至於禍吉而有害不及於慶純凶則禍大純吉則福深如丑午相害以子衝破午子有王水此爲純凶未破於丑丑有欲相之木能制未土爲有救也

句読本文校了

陰陽五行、萬物所存、吉凶之應、各以其類言之。或吉中有凶、凶中有吉。凶則視其所救、吉則觀其所害。凶而有救、不至於禍。吉而有害、不及於慶。純凶則禍大、純吉則福深。如丑午相害、以子衝破午、子有王水、此爲純凶。未破於丑、丑有欲相之木、能制未土、爲有救也。

訓読校了

陰陽五行は万物の存する所、吉凶の応は各おのその類をもってこれを言う。あるいは吉中に凶あり、凶中に吉あり。凶ならばその救う所を視、吉ならばその害する所を観る。凶にして救いあれば禍に至らず、吉にして害あれば慶びに及ばず。純凶ならば禍大きく、純吉ならば福深し。丑午相害のごときは、子をもって午を衝破し、子に王水あり、これ純凶とす。未は丑を破れども、丑に相ならんと欲する木あり、よく未土を制すれば、救いありとす。

現代語訳校了

陰陽五行は万物が存在する基盤であり、吉凶の応現はそれぞれ同類によって論じる。吉の中に凶があり、凶の中に吉があることもある。凶なら救いとなるものを調べ、吉なら害となるものを調べる。凶でも救いがあれば禍に至らず、吉でも害があれば慶びに及ばない。純粋な凶なら禍は大きく、純粋な吉なら福は深い。たとえば丑午の相害では、子が午を衝破し、子には王水があるので純凶となる。未が丑を破る場合は、丑に相となろうとする木があり、未の土を制するので救いがある。

GT-200199・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

未子相害午衝破於子子是王水水制午火爲凶中有吉子與丑合丑土反制子水卽是吉中有凶生害之義例皆如斯

句読本文校了

未子相害、午衝破於子、子是王水、水制午火、爲凶中有吉。子與丑合、丑土反制子水、卽是吉中有凶。生害之義例皆如斯。

訓読校了

未子相害に、午、子を衝破すれども、子はこれ王水にして、水、午火を制すれば、凶中に吉ありとす。子と丑と合すれども、丑土反って子水を制すれば、すなわち吉中に凶あり。生害の義例、みなかくのごとし。

現代語訳校了

未子害では午が子を衝しても、旺じた子水が午火を制するため凶中の吉となる。子丑の合も、丑土が子水を制するため吉中の凶となる。相生・相害はこのように強弱と救済を併せて判断する。

GT-200200・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

第十三論衝破衝破者以其氣相格對也衝氣爲輕破氣爲重支干各自相對故各有衝破也干衝破者甲庚衝破乙辛衝破丙壬衝破丁癸衝破戊壬甲戌乙己亦衝破此皆對衝破亦本體相剋彌爲重也

句読本文校了

第十三論衝破。衝破者、以其氣相格對也。衝氣爲輕、破氣爲重。支干各自相對、故各有衝破也。干衝破者、甲庚衝破、乙辛衝破、丙壬衝破、丁癸衝破、戊壬、甲戌、乙己、亦衝破。此皆對衝破、亦本體相剋、彌爲重也。

訓読校了

第十三、衝破を論ず。衝破とは、その気相い格対するをもってなり。衝気は軽く、破気は重し。支干各おの相対す。故に各おの衝破あり。干の衝破は、甲庚、乙辛、丙壬、丁癸衝破し、戊壬・甲戌・乙己もまた衝破す。これみな対して衝破し、また本体も相剋し、いよいよ重しと爲すなり。

現代語訳校了

第十三は衝と破を論じる。衝破とは気が互いに正面から対立することで、衝の気は軽く、破の気は重い。支と干はそれぞれ互いに対するため、各々に衝破がある。天干の衝破は、甲と庚、乙と辛、丙と壬、丁と癸が衝破し、戊壬・甲戌・乙己も衝破する。これらはすべて正面から衝破し、さらに本体の五行も相剋するため、いっそう重い。

GT-200201・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

支衝破者子午衝破丑未衝破寅申衝破卯酉衝破辰戌衝破巳亥衝破此亦取相對其輕重皆以死生言之四孟有生而無死直衝而不破四季有死而無生直破而無衝四仲死生俱興故竝有衝破

句読本文校了

支衝破者、子午衝破、丑未衝破、寅申衝破、卯酉衝破、辰戌衝破、巳亥衝破。此亦取相對。其輕重皆以死生言之。四孟有生而無死、直衝而不破。四季有死而無生、直破而無衝。四仲死生俱興、故竝有衝破。

訓読校了

支の衝破は、子午・丑未・寅申・卯酉・辰戌・巳亥、衝破す。これまた相対を取る。その軽重はみな死生をもってこれを言う。四孟は生ありて死なく、ただ衝して破せず。四季は死ありて生なく、ただ破して衝せず。四仲は死生ともに興る、故に並びに衝破あり。

現代語訳校了

地支の衝破は、子午・丑未・寅申・卯酉・辰戌・巳亥の六組であり、これも正反対の位置を取る。その軽重はすべて死生によって論じる。四孟には生があって死がないため、衝だけで破はない。四季には死があって生がないため、破だけで衝はない。四仲には死と生がともに起こるため、衝と破の双方がある。

GT-200202・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

四孟有生無死直有衝無破者寅有生火巳有生金申有生水亥有生木也四仲死生俱有者卯有王木死水午有王火死木酉有王金死火子有王水死金

句読本文校了

四孟有生無死、直有衝無破者、寅有生火、巳有生金、申有生水、亥有生木也。四仲死生俱有者、卯有王木死水、午有王火死木、酉有王金死火、子有王水死金。

訓読校了

四孟、生ありて死なく、ただ衝ありて破なきは、寅に生火あり、巳に生金あり、申に生水あり、亥に生木あるなり。四仲、死生ともにあるは、卯に王木と死水、午に王火と死木、酉に王金と死火、子に王水と死金あり。

現代語訳校了

四孟には生があって死がないため、衝だけで破はない。寅には生火、巳には生金、申には生水、亥には生木がある。四仲には死と生がともにあり、卯には王木と死水、午には王火と死木、酉には王金と死火、子には王水と死金があるため、衝と破の双方が成立する。

GT-200203・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

四季有死而無生者辰有死水未有死木戌有死火丑有死金死氣則重故能破生氣則輕故相衝又復甲往向庚爲衡庚往向甲爲破以強者制弱也其衝破皆以對位抗衝最爲不善又互向對衝之地我當在庚令敵居甲以強制弱故也

句読本文校了

四季有死而無生者、辰有死水、未有死木、戌有死火、丑有死金。死氣則重、故能破。生氣則輕、故相衝。又復甲往向庚爲衡、庚往向甲爲破、以強者制弱也。其衝破、皆以對位抗衝、最爲不善。又互向對衝之地、我當在庚、令敵居甲、以強制弱故也。

訓読校了

四季、死ありて生なきは、辰に死水あり、未に死木あり、戌に死火あり、丑に死金あり。死気は重し、故によく破す。生気は軽し、故に相い衝く。また甲より往きて庚に向かうを衡とし、庚より往きて甲に向かうを破とす。強き者、弱きを制するをもってなり。その衝破はみな対位にして抗衝し、最も不善とす。また互いに対衝の地に向かうとき、我は庚に在り、敵を甲に居らしむ。強きをもって弱きを制する故なり。

現代語訳校了

四季には、辰に死水、未に死木、戌に死火、丑に死金があり、死はあって生はない。死気は重いので破を起こし、生気は軽いので互いに衝く。また、甲から庚へ向かうことを「衡」とし、庚から甲へ向かうことを「破」とする。強い側が弱い側を制するからである。衝破はいずれも対向する位置で互いにぶつかるため、最も不吉である。また互いに対衝する土地へ向かう場合は、自軍を庚の位置に置き、敵を甲の位置に置く。強い側によって弱い側を制するためである。

GT-200204・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

問曰沴氣是相衝而爲今解衝破而不喚爲沴此未可解答曰五行相沴因事變重非是常然有罰則見無災則止今之所解直是支干之位常自格對剛柔相衝非問變異寜得稱爾矣

句読本文校了

問曰、沴氣是相衝而爲、今解衝破、而不喚爲沴、此未可解。答曰、五行相沴、因事變重、非是常然。有罰則見、無災則止。今之所解、直是支干之位、常自格對、剛柔相衝。非問變異、寜得稱爾矣。

訓読校了

問いて曰く、沴気はこれ相い衝きて為る。今、衝破を解して沴と喚ばざるは、未だ解すべからず。答えて曰く、五行相沴は事変の重きに因り、これ常に然るにあらず。罰あれば現れ、災なければ止む。今解する所は、ただこれ支干の位、常に自ら格対し、剛柔相い衝くものなり。変異を問うにあらず、寧んぞ爾く称するを得んや。

現代語訳校了

問いは、沴気は互いに衝突して生じるのに、ここで衝破を説明しながら沴と呼ばないのは理解できない、とする。答えは、五行の相沴は重大な事変に応じるもので、常にそうなるわけではなく、罰があれば現れ、災いがなければ止むとする。いま説明しているのは、干支の位置が常に互いに対立し、剛と柔が衝突するという恒常的な関係にすぎない。変異を問題としているのではないのだから、どうして沴と呼べようか、と区別する。

GT-200205・巻2
巻末 校了
原文翻刻校了

五行大義卷第二

句読本文校了

五行大義卷第二。

訓読校了

『五行大義』巻第二。

現代語訳校了

『五行大義』巻二、終わり。

GT-300001
表紙・巻頭 校了
原文翻刻校了

五行大義三

句読本文校了

五行大義三。

訓読校了

『五行大義』三。

現代語訳校了

『五行大義』巻三。

GT-300002・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

五行大義卷第三上儀同三司城陽郡開國公蕭吉撰第十四論雜配就此分爲六段一論配五色二論配聲音三論配氣味四論配藏府五論配五常六論配五事第一論配五色左氏傳子產曰發爲五色蔡伯喈云通眼者爲五色

句読本文校了

五行大義卷第三。上儀同三司城陽郡開國公蕭吉撰。第十四、論雜配。就此分爲六段。一、論配五色。二、論配聲音。三、論配氣味。四、論配藏府。五、論配五常。六、論配五事。第一、論配五色。左氏傳、子產曰、發爲五色。蔡伯喈云、通眼者爲五色。

訓読校了

『五行大義』巻第三。上儀同三司・城陽郡開国公、蕭吉撰。第十四、雑配を論ず。此れに就きて分かちて六段と為す。一に五色に配するを論じ、二に声音に配するを論じ、三に気味に配するを論じ、四に蔵府に配するを論じ、五に五常に配するを論じ、六に五事に配するを論ず。第一、五色に配するを論ず。『左氏伝』に、子産曰く、「発して五色と為る」と。蔡伯喈云く、「眼に通ずる者を五色と為す」と。

現代語訳校了

『五行大義』巻第三。上儀同三司・城陽郡開国公である蕭吉の撰。第十四は、さまざまな事物への配当を論じる。これを六段に分ける。第一は五色への配当、第二は声音への配当、第三は気味への配当、第四は臓腑への配当、第五は五常への配当、第六は五事への配当を論じる。第一に、五色への配当を論じる。『左氏伝』で子産は「外に現れて五色となる」といい、蔡伯喈は「眼に通じるものを五色という」と述べている。

GT-300003・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

黃帝素問曰草性有五章爲五色者東方木爲蒼色萬物發生夷柔之色也南方火爲赤色以象盛陽炎燄之狀也中央土黃色黃者地之色也故曰天玄而地黃西方金色白秋爲殺氣白露爲霜白者喪之象

句読本文校了

黃帝素問曰、草性有五章、爲五色者、東方木爲蒼色。萬物發生、夷柔之色也。南方火爲赤色、以象盛陽炎燄之狀也。中央土黃色。黃者地之色也。故曰、天玄而地黃。西方金色白。秋爲殺氣、白露爲霜。白者喪之象

訓読校了

『黄帝素問』に曰く、草の性に五章有り、五色を為す者は、東方の木を蒼色と為す。万物発生して、夷柔の色なり。南方の火を赤色と為し、以て盛陽・炎燄の状に象るなり。中央の土は黄色なり。黄は地の色なり。故に曰く、「天は玄にして地は黄なり」と。西方の金の色は白なり。秋は殺気と為り、白露は霜と為る。白は喪の象……

現代語訳校了

『黄帝素問』には、草の性には五つのあらわれがあり、五色となるものとして、東方の木は蒼色であるとする。万物が発生して、なだらかで柔らかな状態にある色だからである。南方の火は赤色で、盛んな陽気と燃え立つ炎の姿をかたどる。中央の土は黄色である。黄は大地の色なので、「天は玄く、地は黄色い」といわれる。西方の金の色は白である。秋は殺気となり、白露は霜となる。白は喪の象徴で……。

GT-300004・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

也北方水色黑遠望黯然陰闇之象也溟海淼邈玄闇無窮水爲太陰之物故陰闇也孝經援神契言土之精黃木之精青火之精赤金之精白水之精黑

句読本文校了

也。北方水色黑。遠望黯然、陰闇之象也。溟海淼邈、玄闇無窮。水爲太陰之物、故陰闇也。孝經援神契言、土之精黃、木之精青、火之精赤、金之精白、水之精黑。

訓読校了

……なり。北方の水の色は黒なり。遠く望めば黯然として、陰闇の象なり。溟海は淼邈として、玄闇窮まり無し。水は太陰の物為るが故に、陰闇なり。『孝経援神契』に言く、「土の精は黄、木の精は青、火の精は赤、金の精は白、水の精は黒なり」と。

現代語訳校了

……である。北方の水の色は黒である。遠く望めば暗くかすみ、陰の暗さを象徴する。大海は広く果てしなく、玄く深い暗さにも限りがない。水は太陰のものなので、暗いのである。『孝経援神契』には「土の精は黄、木の精は青、火の精は赤、金の精は白、水の精は黒である」とある。

GT-300005・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

春秋考異郵云北狄之氣生幽都色黑如群畜穹閭南夷之氣生交趾色赤聚隅如旛旗鳥類東夷之氣生萊柞色蒼搔撽布散如林木西夷之氣生沙丘色白鋒積如刀刃之浮中央土會色黃如城郭之形黃氣四塞土精舒

句読本文校了

春秋考異郵云、北狄之氣生幽都、色黑、如群畜穹閭。南夷之氣生交趾、色赤、聚隅如旛旗鳥類。東夷之氣生萊柞、色蒼、搔撽布散如林木。西夷之氣生沙丘、色白、鋒積如刀刃之浮。中央土會、色黃、如城郭之形。黃氣四塞、土精舒。

訓読校了

『春秋考異郵』に云く、「北狄の気は幽都に生じ、色は黒く、群畜・穹閭の如し。南夷の気は交趾に生じ、色は赤く、隅に聚まりて旛旗・鳥類の如し。東夷の気は萊柞に生じ、色は蒼く、搔撽して布散し、林木の如し。西夷の気は沙丘に生じ、色は白く、鋒積みて刀刃の浮かぶが如し。中央の土会は、色黄にして城郭の形の如し。黄気四方に塞がり、土精舒ぶ」と。

現代語訳校了

『春秋考異郵』はいう。「北狄の気は幽都に生じ、色は黒く、群れた家畜や円屋根の天幕のようである。南夷の気は交趾に生じ、色は赤く、隅に集まるさまは旗や鳥の類のようである。東夷の気は萊柞に生じ、色は蒼く、かき乱すように散り広がるさまは林木のようである。西夷の気は沙丘に生じ、色は白く、鋭い先端が重なるさまは刀の刃が浮かぶようである。中央で土気が集まるところは黄色で、城郭の形のようである。黄気が四方に満ち、土の精気が伸び広がる」と。

GT-300006・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

此五者爲正色其變色亦五穎子嚴春秋釋例曰經有赤狄白狄然則東青北黑中黃皆正色也土戊畏於木故以妹己妻甲以黃入於青故東方閒色綠也詩云綠兮衣兮刺閒色亂正色也金庚畏於火故以妹辛妻於丙以白入於赤故南方閒色紅

句読本文校了

此五者爲正色、其變色亦五。穎子嚴春秋釋例曰、經有赤狄白狄、然則東青北黑中黃、皆正色也。土戊畏於木、故以妹己妻甲。以黃入於青、故東方閒色綠也。詩云、綠兮衣兮。刺閒色亂正色也。金庚畏於火、故以妹辛妻於丙。以白入於赤、故南方閒色紅。

訓読校了

此の五者を正色と為し、其の変色も亦た五あり。穎子厳の『春秋釈例』に曰く、「経に赤狄・白狄有り。然らば則ち、東の青、北の黒、中央の黄も、皆な正色なり」と。土の戊は木を畏る。故に妹の己を以て甲に妻わす。黄を以て青に入る。故に東方の間色は緑なり。『詩』に云く、「緑なるかな、衣は」と。間色の正色を乱すを刺るなり。金の庚は火を畏る。故に妹の辛を以て丙に妻わす。白を以て赤に入る。故に南方の間色は紅なり。

現代語訳校了

この五色を正色とし、その変色もまた五つある。穎子厳の『春秋釈例』には「経書に赤狄・白狄がある。それならば東方の青、北方の黒、中央の黄も、すべて正色である」とある。土の戊は木を恐れるので、妹である己を甲の妻にする。黄を青に入れるため、東方の間色は緑となる。『詩』の「緑なるかな、その衣は」という句は、間色が正色を乱すことを批判したものである。金の庚は火を恐れるので、妹である辛を丙の妻にする。白を赤に入れるため、南方の間色は紅となる。

GT-300007・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

論語鄕黨曰紅紫不以爲褻服木甲畏於金故以妹乙妻庚以青入於白故西方閒色縹也火丙畏於水故以妹丁妻壬以赤入於黑故北方閒色紫也孔子曰惡紫之奪朱也

句読本文校了

論語鄕黨曰、紅紫不以爲褻服。木甲畏於金、故以妹乙妻庚。以青入於白、故西方閒色縹也。火丙畏於水、故以妹丁妻壬。以赤入於黑、故北方閒色紫也。孔子曰、惡紫之奪朱也。

訓読校了

『論語』郷党に曰く、「紅紫は以て褻服と為さず」と。木の甲は金を畏る。故に妹の乙を以て庚に妻わす。青を以て白に入る。故に西方の間色は縹なり。火の丙は水を畏る。故に妹の丁を以て壬に妻わす。赤を以て黒に入る。故に北方の間色は紫なり。孔子曰く、「紫の朱を奪うを悪む」と。

現代語訳校了

『論語』郷党篇には「紅や紫を普段着とはしなかった」とある。木の甲は金を恐れるので、妹である乙を庚の妻にする。青を白に入れるため、西方の間色は縹となる。火の丙は水を恐れるので、妹である丁を壬の妻にする。赤を黒に入れるため、北方の間色は紫となる。孔子は「紫が朱に取って代わるのを憎む」と述べた。

GT-300008・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

水壬畏於土故以妹癸妻戊以黑入於黃故中央閒色驪黃五行書云甲爲青己爲綠丙爲赤辛爲紅庚爲白乙爲縹壬爲黑丁爲紫戊爲黃癸爲驪黃此皆夫爲本色妻爲雜色也柳世隆云八卦各有其色震爲青離爲赤兌爲白坎爲黑此

句読本文校了

水壬畏於土、故以妹癸妻戊。以黑入於黃、故中央閒色驪黃。五行書云、甲爲青、己爲綠、丙爲赤、辛爲紅、庚爲白、乙爲縹、壬爲黑、丁爲紫、戊爲黃、癸爲驪黃。此皆夫爲本色、妻爲雜色也。柳世隆云、八卦各有其色。震爲青、離爲赤、兌爲白、坎爲黑、此

訓読校了

水の壬は土を畏る。故に妹の癸を以て戊に妻わす。黒を以て黄に入る。故に中央の間色は驪黄なり。『五行書』に云く、「甲を青と為し、己を緑と為し、丙を赤と為し、辛を紅と為し、庚を白と為し、乙を縹と為し、壬を黒と為し、丁を紫と為し、戊を黄と為し、癸を驪黄と為す」と。此れ皆な夫を本色と為し、妻を雑色と為すなり。柳世隆云く、「八卦には各々其の色有り。震を青と為し、離を赤と為し、兌を白と為し、坎を黒と為す。此れ……」と。

現代語訳校了

水の壬は土を恐れるので、妹である癸を戊の妻にする。黒を黄に入れるため、中央の間色は驪黄となる。『五行書』には「甲は青、己は緑、丙は赤、辛は紅、庚は白、乙は縹、壬は黒、丁は紫、戊は黄、癸は驪黄である」とある。これらはいずれも夫に当たるものを本色、妻に当たるものを雑色とする。柳世隆は「八卦にはそれぞれ色がある。震は青、離は赤、兌は白、坎は黒であり、これらは……」と述べる。

八卦の間色と生死の色

第3冊 第4画像を開く(新しいタブ)
GT-300009・巻3
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皆當方正色乾爲紫艮爲紅巽爲綠坤爲黃此竝閒色也坤取未土之正色甲乙經云青如翠羽黑如烏羽赤如雞冠黃如蟹腹白如豕膏此五色爲生氣見青如草滋黑如水苔黃如枳實赤如衃血白如枯骨此五色爲死氣見

句読本文校了

皆當方正色。乾爲紫、艮爲紅、巽爲綠、坤爲黃、此竝閒色也。坤取未土之正色。甲乙經云、青如翠羽、黑如烏羽、赤如雞冠、黃如蟹腹、白如豕膏、此五色爲生氣見。青如草滋、黑如水苔、黃如枳實、赤如衃血、白如枯骨、此五色爲死氣見。

訓読校了

……は皆な当方の正色なり。乾を紫と為し、艮を紅と為し、巽を緑と為し、坤を黄と為す。此れ並びに間色なり。坤は未土の正色を取る。『甲乙経』に云く、「青は翠羽の如く、黒は烏羽の如く、赤は鶏冠の如く、黄は蟹腹の如く、白は豕膏の如し。此の五色は生気の見わるるなり。青は草滋の如く、黒は水苔の如く、黄は枳実の如く、赤は衃血の如く、白は枯骨の如し。此の五色は死気の見わるるなり」と。

現代語訳校了

……はいずれも対応する方位の正色である。乾は紫、艮は紅、巽は緑、坤は黄で、これらはすべて間色である。坤は未に当たる土の正色を取る。『甲乙経』には「青が翡翠の羽、黒が烏の羽、赤が鶏冠、黄が蟹の腹、白が豚の脂のようであるとき、この五色は生気の現れである。青が生い茂る草、黒が水苔、黄が枳実、赤が衃血、白が枯骨のようであるとき、この五色は死気の現れである」とある。

GT-300010・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

相經曰青氣初來如麥生盛王之時如樹葉青欲去之時如水上苔赤氣初來如赭柱盛王之時如朱丹欲去之時如乾血黃氣初來如蠶吐絲盛王之時如博基欲去之時如枯葉白氣初來之時如璽璧盛王之時如粉上光欲去之時如鮮錢黑氣初來之時如死馬肝盛王之時如漆光欲去之時如苔垢

句読本文校了

相經曰、青氣初來、如麥生。盛王之時、如樹葉青。欲去之時、如水上苔。赤氣初來、如赭柱。盛王之時、如朱丹。欲去之時、如乾血。黃氣初來、如蠶吐絲。盛王之時、如博基。欲去之時、如枯葉。白氣初來之時、如璽璧。盛王之時、如粉上光。欲去之時、如鮮錢。黑氣初來之時、如死馬肝。盛王之時、如漆光。欲去之時、如苔垢。

訓読校了

『相経』に曰く、「青気の初めて来たるは麦の生ずるが如く、盛王の時は樹葉の青きが如く、去らんと欲する時は水上の苔の如し。赤気の初めて来たるは赭柱の如く、盛王の時は朱丹の如く、去らんと欲する時は乾血の如し。黄気の初めて来たるは蚕の糸を吐くが如く、盛王の時は博基の如く、去らんと欲する時は枯葉の如し。白気の初めて来たる時は璽璧の如く、盛王の時は粉上の光の如く、去らんと欲する時は鮮銭の如し。黒気の初めて来たる時は死馬の肝の如く、盛王の時は漆光の如く、去らんと欲する時は苔垢の如し」と。

現代語訳校了

『相経』はいう。「青気が現れ始めるときは麦が生えるさま、盛んになるときは青い木の葉、去ろうとするときは水面の苔のようである。赤気が現れ始めるときは赤土色の柱、盛んになるときは朱の顔料、去ろうとするときは乾いた血のようである。黄気が現れ始めるときは蚕が糸を吐くさま、盛んになるときは「博基」(碁に関わるものとする説がある)、去ろうとするときは枯葉のようである。白気が現れ始めるときは璽璧、盛んになるときは白粉の上の光、去ろうとするときは新しい銭のようである。黒気が現れ始めるときは死馬の肝、盛んになるときは漆の光、去ろうとするときは苔の汚れのようである」と。

GT-300011・巻3
本文 校了
原文翻刻校了

禮記曰君子縗絰則有哀色端冕則有敬色甲胄則有不可犯之色大戴禮云孔子曰君子有三色焉顯然怡樂鐘鼓之色意氣沈靜憂喪之色忿然競動兵革之色大戴禮觀人篇云人有五性喜怒欲懼憂喜氣內畜雖欲隱陽喜必見四氣皆然五氣誠在乎中發形於外人情不可隱也

句読本文校了

禮記曰、君子縗絰、則有哀色。端冕、則有敬色。甲胄、則有不可犯之色。大戴禮云、孔子曰、君子有三色焉。顯然怡樂、鐘鼓之色。意氣沈靜、憂喪之色。忿然競動、兵革之色。大戴禮觀人篇云、人有五性、喜怒欲懼憂。喜氣內畜、雖欲隱、陽喜必見。四氣皆然。五氣誠在乎中、發形於外、人情不可隱也。

訓読校了

『礼記』に曰く、「君子、縗絰すれば、則ち哀色有り。端冕すれば、則ち敬色有り。甲胄すれば、則ち犯すべからざるの色有り」と。『大戴礼』に云く、孔子曰く、「君子に三色有り。顕然として怡楽するは鐘鼓の色、意気沈静なるは憂喪の色、忿然として競動するは兵革の色なり」と。『大戴礼』観人篇に云く、「人に五性有り。喜・怒・欲・懼・憂なり。喜気内に畜われば、隠さんと欲すと雖も、陽喜必ず見わる。四気も皆な然り。五気誠に中に在れば、外に発形し、人情は隠すべからざるなり」と。

現代語訳校了

『礼記』には「君子は喪服を着ければ悲しみの表情があり、礼服と冠を着ければ敬意の表情があり、甲冑を着ければ侵すことのできない表情がある」とある。『大戴礼』で孔子は「君子には三つの表情がある。明らかに楽しげなのは鐘鼓の表情、意気が沈み静かなのは憂いや喪の表情、怒って競い動くのは戦争の表情である」と述べる。『大戴礼』観人篇には「人には喜・怒・欲・懼・憂という五つの性情がある。喜びの気が内に蓄えられれば、隠そうとしても、その喜びは必ず表に現れる。他の四気もすべて同様である。五気が真に心中にあれば外に形を現すので、人の感情は隠せない」とある。

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