五行大義

五行大義

隋の蕭吉が五行思想の諸説を集成した『五行大義』全五巻について、土御門文書編纂所による原文翻刻・句読・訓読・現代語訳を公開します。

土御門文書編纂所による公開校訂版です。元禄十二年刊本の画像を底本とし、原文翻刻、独自句読、独自訓読、独自現代語訳を分離して公開します。

自家翻刻・訓読・現代語訳

公開版 gogyo-taigi-20260818-g4-v2・全964単位・17 / 49頁

一行が三方に雜ること

第2冊 第17画像を開く(新しいタブ)
GT-200117・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

寅午戌火之位也寅中有生火在東方午中有王火在南方戌中有死火在西方亥卯未木之位也亥中有生木在北方卯中有王木在東方未中有死木在南方申子辰水之位也申中有生水在西方子中有王水在北方辰中有死水在東方巳酉丑金之位也巳中有生金在南方酉中有王金在西方丑中有死金在北方此一行之體雜在三方也

句読本文校了

寅午戌火之位也。寅中有生火在東方午中有王火在南方戌中有死火在西方亥卯未木之位也。亥中有生木在北方卯中有王木在東方未中有死木在南方申子辰水之位也。申中有生水在西方子中有王水在北方辰中有死水在東方巳酉丑金之位也。巳中有生金在南方酉中有王金在西方丑中有死金在北方此一行之體雜在三方也。

訓読校了

寅午戌は火の位なり。寅中に生火有りて東方に在り、午中に王火有りて南方に在り、戌中に死火有りて西方に在り。亥卯未は木の位なり。亥中に生木有りて北方に在り、卯中に王木有りて東方に在り、未中に死木有りて南方に在り。申子辰は水の位なり。申中に生水有りて西方に在り、子中に王水有りて北方に在り、辰中に死水有りて東方に在り。巳酉丑は金の位なり。巳中に生金有りて南方に在り、酉中に王金有りて西方に在り、丑中に死金有りて北方に在り。此れ一行の體、三方に雜るなり。

現代語訳校了

寅・午・戌は火の位である。寅の中の生火は東方、午の中の王火は南方、戌の中の死火は西方にある。亥・卯・未は木の位であり、亥の生木は北方、卯の王木は東方、未の死木は南方にある。申・子・辰は水の位であり、申の生水は西方、子の王水は北方、辰の死水は東方にある。巳・酉・丑は金の位であり、巳の生金は南方、酉の王金は西方、丑の死金は北方にある。このように、一つの行の本体が三方に混在する。

GT-200118・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

未辰丑戌土之位也未中有王土辰中有死土丑中有衰土戌中有壯土此土體雜在四方也趙怡言五行相雜如錦綺焉斯言當矣

句読本文校了

未辰丑戌土之位也。未中有王土辰中有死土丑中有衰土戌中有壯土此土體雜在四方也。趙怡言五行相雜如錦綺焉。斯言當矣。

訓読校了

未辰丑戌は土の位なり。未中に王土有り、辰中に死土有り、丑中に衰土有り、戌中に壯土有り。此れ土體、四方に雜るなり。趙怡言ふ、五行の相雜ること錦綺の如し、と。斯の言、當れり。

現代語訳校了

土は未・辰・丑・戌に旺・死・衰・壮の状態で配され、四方すべてに混在する。趙怡が、五行の混じり合いは錦の模様のようだと述べたのは適切である。

GT-200119・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

第七論德德者得也有益於物各隨所欲無悔恡故謂之爲德也五行書云若有一德能禳百災凡陰陽用事遇德爲善謂之福德爲有救助萬事皆吉災害消亡德有四德三者從支干論之一者從月氣論之支干三種者一曰干德二曰支德三曰支干合德

句読本文校了

第七論德德者、得也。有益於物各隨所欲無悔恡。故謂之爲德也。五行書云、若有一德能禳百災凡陰陽用事遇德爲善謂之福德爲有救助萬事皆吉災害消亡德有四德三者、從支干論之一者、從月氣論之支干三種者、一曰、干德二曰、支德三曰、支干合德。

訓読校了

第七、德を論ず。德は得なり。物に益有り、各々欲する所に隨ひ、悔恡無し。故に之を德と謂ふなり。『五行書』に云ふ、若し一德有れば、能く百災を禳ふ。凡そ陰陽用事するに、德に遇ふを善と爲し、之を福德と謂ひ、救助有りと爲す。萬事皆吉にして、災害消亡す。德に四德有り。三つは支干より之を論じ、一つは月氣より之を論ず。支干に三種あり。一を干德と曰ひ、二を支德と曰ひ、三を支干合德と曰ふ。

現代語訳校了

第七は徳を論じる。徳とは「得る」ということで、万物に利益を与え、それぞれの望みに応じ、後悔や物惜しみを生じさせないので徳という。『五行書』は、一つの徳があれば百の災いを祓えるという。陰陽が働く時に徳に出会うことを善とし、福徳と呼んで救助があるものとする。万事が吉となり、災害は消滅する。徳には四種あり、三種は支干から、一種は月気から論じる。支干による三種とは、第一が干徳、第二が支徳、第三が支干合徳である。

GT-200120・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

干德者甲德自在乙德在庚丙德自在丁德在壬戊德自在己德在甲庚德自在辛德在丙壬德自在癸德在戊此十干者甲丙戊庚壬爲陽尊故德自處乙丁己辛癸爲陰卑故配德於陽有從夫之義所以不自爲德

句読本文校了

干德者、甲德自在乙德在庚丙德自在丁德在壬戊德自在己德在甲庚德自在辛德在丙壬德自在癸德在戊此十干者、甲丙戊庚壬爲陽尊。故德自處乙丁己辛癸爲陰卑。故配德於陽有從夫之義所以不自爲德。

訓読校了

干德は、甲の德は自在り、乙の德は庚に在り、丙の德は自在り、丁の德は壬に在り、戊の德は自在り、己の德は甲に在り、庚の德は自在り、辛の德は丙に在り、壬の德は自在り、癸の德は戊に在り。此の十干は、甲丙戊庚壬を陽と爲して尊し。故に德は自ら處る。乙丁己辛癸を陰と爲して卑し。故に德を陽に配し、夫に從ふの義有り。所以に自ら德と爲らず。

現代語訳校了

干徳では、甲の徳は甲自身、乙の徳は庚、丙の徳は丙自身、丁の徳は壬、戊の徳は戊自身、己の徳は甲、庚の徳は庚自身、辛の徳は丙、壬の徳は壬自身、癸の徳は戊にある。十干のうち甲・丙・戊・庚・壬は陽で尊いため徳を自らに置く。乙・丁・己・辛・癸は陰で卑しいとされるため、夫に従うという当時の観念になぞらえて徳を陽干に配し、自らを徳とはしない。

十干の配日と君臣夫婦

第2冊 第18画像を開く(新しいタブ)
GT-200121・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

揚子云配日之道正有五日甲己爲木丙辛爲火戊癸爲土乙庚爲金丁壬爲水陰陽之理必相配偶以則君臣夫婦之義甲爲君爲夫己爲臣爲妻君位自在臣位由君故己德在甲乙德在庚也餘四皆然陰從陽之道

句読本文校了

揚子云、配日之道正有五日甲己爲木丙辛爲火戊癸爲土乙庚爲金丁壬爲水陰陽之理必相配偶以、則君臣夫婦之義甲爲君爲夫己爲臣爲妻君位自在臣位由君。故己德在甲乙德在庚也。餘四皆然陰從陽之道。

訓読校了

揚子云ふ、配日の道、正に五日有り。甲己を木と爲し、丙辛を火と爲し、戊癸を土と爲し、乙庚を金と爲し、丁壬を水と爲す。陰陽の理は必ず相配偶し、以て君臣夫婦の義に則る。甲を君と爲し夫と爲し、己を臣と爲し妻と爲す。君位は自在り、臣位は君に由る。故に己の德は甲に在り、乙の德は庚に在るなり。餘の四も皆然り。陰、陽に從ふの道なり。

現代語訳校了

揚子によれば、十干を日に配する道にはちょうど五つの組があり、甲・己を木、丙・辛を火、戊・癸を土、乙・庚を金、丁・壬を水とする。陰陽は必ず対を組み、君臣・夫婦の関係に準ずる。甲を君・夫、己を臣・妻とし、君の地位は自立するが、臣の地位は君によって定まる。そのため己の徳は甲に、乙の徳は庚にある。その他もすべて同様で、陰が陽に従う道理だとする。

GT-200122・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

支德者子德在巳丑德在午寅德在未卯德在申辰德在酉巳德在戌午德在亥未德在子申德在丑酉德在寅戌德在卯亥德在辰此皆以其夫生助之所也

句読本文校了

支德者、子德在巳丑德在午寅德在未卯德在申辰德在酉巳德在戌午德在亥未德在子申德在丑酉德在寅戌德在卯亥德在辰此皆以其夫生助之所也。

訓読校了

支德は、子の德は巳に在り、丑の德は午に在り、寅の德は未に在り、卯の德は申に在り、辰の德は酉に在り、巳の德は戌に在り、午の德は亥に在り、未の德は子に在り、申の德は丑に在り、酉の德は寅に在り、戌の德は卯に在り、亥の德は辰に在り。此れ皆、其の夫の生助する所を以てなり。

現代語訳校了

支徳は、子の徳は巳、丑の徳は午、寅の徳は未、卯の徳は申、辰の徳は酉、巳の徳は戌、午の徳は亥、未の徳は子、申の徳は丑、酉の徳は寅、戌の徳は卯、亥の徳は辰にある。これはいずれも、その支の夫に当たる行が生の状態にあって助ける位置を徳とするという原則による。

GT-200123・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

子以巳爲德者子水也以土爲夫巳中有生土丑以午爲德者丑土也以木爲夫午中有死木寅以未爲德者寅木也以金爲夫未中有冠帶金卯以申爲德者卯木也以金爲夫申中有相金辰以酉爲德者辰土也以木爲夫酉中有胎木巳以戌爲德者巳火也以水爲夫戌中有冠帶水午以亥爲德者午火也以水爲夫亥中有相水未以子爲德者未土也以木爲夫子中有沐浴木

句読本文校了

子以巳爲德者、子水也。以土爲夫巳中有生土丑以午爲德者、丑土也。以木爲夫午中有死木寅以未爲德者、寅木也。以金爲夫未中有冠帶金卯以申爲德者、卯木也。以金爲夫申中有相金辰以酉爲德者、辰土也。以木爲夫酉中有胎木巳以戌爲德者、巳火也。以水爲夫戌中有冠帶水午以亥爲德者、午火也。以水爲夫亥中有相水未以子爲德者、未土也。以木爲夫子中有沐浴木。

訓読校了

子、巳を以て德と爲すは、子は水なり。土を以て夫と爲し、巳中に生土有り。丑、午を以て德と爲すは、丑は土なり。木を以て夫と爲し、午中に死木有り。寅、未を以て德と爲すは、寅は木なり。金を以て夫と爲し、未中に冠帶金有り。卯、申を以て德と爲すは、卯は木なり。金を以て夫と爲し、申中に相金有り。辰、酉を以て德と爲すは、辰は土なり。木を以て夫と爲し、酉中に胎木有り。巳、戌を以て德と爲すは、巳は火なり。水を以て夫と爲し、戌中に冠帶水有り。午、亥を以て德と爲すは、午は火なり。水を以て夫と爲し、亥中に相水有り。未、子を以て德と爲すは、未は土なり。木を以て夫と爲し、子中に沐浴木有り。

現代語訳校了

子が巳を徳とするのは、子が水で、その夫を土とし、巳の中に生土があるためである。丑が午を徳とするのは、丑が土で、その夫を木とし、午の中に死木があるためである。寅が未を徳とするのは、寅が木で、その夫を金とし、未の中に冠帯金があるためである。卯が申を徳とするのは、卯が木で、その夫を金とし、申の中に相金があるためである。辰が酉を徳とするのは、辰が土で、その夫を木とし、酉の中に胎木があるためである。巳が戌を徳とするのは、巳が火で、その夫を水とし、戌の中に冠帯水があるためである。午が亥を徳とするのは、午が火で、その夫を水とし、亥の中に相水があるためである。未が子を徳とするのは、未が土で、その夫を木とし、子の中に沐浴木があるためである。

GT-200124・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

申以丑爲德者申金也以火爲夫丑中有養火酉以寅爲德者酉金也以火爲夫寅中有生火戌以卯爲德者戌土也以木爲夫卯中有王木亥以辰爲德者亥水也以土爲夫辰中有死土

句読本文校了

申以丑爲德者、申金也。以火爲夫丑中有養火酉以寅爲德者、酉金也。以火爲夫寅中有生火戌以卯爲德者、戌土也。以木爲夫卯中有王木亥以辰爲德者、亥水也。以土爲夫辰中有死土。

訓読校了

申、丑を以て德と爲すは、申は金なり。火を以て夫と爲し、丑中に養火有り。酉、寅を以て德と爲すは、酉は金なり。火を以て夫と爲し、寅中に生火有り。戌、卯を以て德と爲すは、戌は土なり。木を以て夫と爲し、卯中に王木有り。亥、辰を以て德と爲すは、亥は水なり。土を以て夫と爲し、辰中に死土有り。

現代語訳校了

申が丑を徳とするのは、申が金で、その夫を火とし、丑の中に養火があるためである。酉が寅を徳とするのは、酉が金で、その夫を火とし、寅の中に生火があるためである。戌が卯を徳とするのは、戌が土で、その夫を木とし、卯の中に王木があるためである。亥が辰を徳とするのは、亥が水で、その夫を土とし、辰の中に死土があるためである。

GT-200125・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

或問云從夫之義生者有德能相和養故從死者離背不能和從何以死猶爲德答曰婦無再醮一降適人便稱夫氏雖死猶從其族豈得生而稱之死便捨弃故陰之從陽生死常存

句読本文校了

或問云、從夫之義生者、有德能相和養。故從死者、離背不能和從何以死猶爲德答曰、婦無再醮一降適人便稱夫氏雖死猶從其族豈得生、而稱之死便捨弃。故陰之從陽生死常存。

訓読校了

或ひと問ひて云ふ、夫に從ふの義は、生者に德有りて能く相和養す。故に從ふ。死者は離背して和する能はず。何を以て死して猶ほ德と爲すや。答へて曰く、婦は再醮無し。一たび降りて人に適けば、便ち夫氏を稱す。死すと雖も猶ほ其の族に從ふ。豈に生きて之を稱し、死して便ち捨弃するを得んや。故に陰の陽に從ふこと、生死に常に存す。

現代語訳校了

ある人が問う。夫に従うというのは、生きている者には徳があり、互いに調和して養えるから従うのである。死者は離れ去り、調和し従うことができないのに、なぜ死の位置もなお徳とするのか。これに対して答える。妻は再婚せず、一度人に嫁げばすぐに夫の氏を名乗り、夫が死んでもなおその一族に従う。夫の生前はその氏を名乗り、死後はすぐに捨てるなどということができようか。このため、陰が陽に従う関係は、生死を通じて常に存続するという。

GT-200126・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

支干合德者子德在甲丑德在辛寅德在丙卯德在丁辰德在庚巳徳在己午德在戊未德在辛申德在壬酉德在癸戌德在庚亥德在乙此皆從子爲德也

句読本文校了

支干合德者、子德在甲丑德在辛寅德在丙卯德在丁辰德在庚巳徳在己午德在戊未德在辛申德在壬酉德在癸戌德在庚亥德在乙此皆從子爲德也。

訓読校了

支干合德は、子の德は甲に在り、丑の德は辛に在り、寅の德は丙に在り、卯の德は丁に在り、辰の德は庚に在り、巳の徳は己に在り、午の德は戊に在り、未の德は辛に在り、申の德は壬に在り、酉の德は癸に在り、戌の德は庚に在り、亥の德は乙に在り。此れ皆、子に從ひて德と爲すなり。

現代語訳校了

支干合徳では、子の徳は甲、丑の徳は辛、寅の徳は丙、卯の徳は丁、辰の徳は庚、巳の徳は己、午の徳は戊、未の徳は辛、申の徳は壬、酉の徳は癸、戌の徳は庚、亥の徳は乙にある。これらはすべて子に従って徳を定める。

GT-200127・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

謂子能扶助其母有孝養之性以爲德也凡干爲陽支爲陰陽體剛強自在陰體柔順從陽婦人有三從之禮每無自專之義夫死從子故以子爲德若有支干各自爲德皆從其夫既今支干共爲德故離其夫位故便從子也子德在甲者水爲木母故也例皆如之

句読本文校了

謂子能扶助其母有孝養之性以爲德也。凡干爲陽支爲陰陽體剛強自在陰體柔順從陽婦人有三從之禮每無自專之義夫死從子。故以子爲德若有支干各自爲德皆從其夫既今支干共爲德。故離其夫位。故便從子也。子德在甲者、水爲木母。故也。例皆如之。

訓読校了

謂ふ、子は能く其の母を扶助し、孝養の性有るを以て德と爲すなり。凡そ干を陽と爲し、支を陰と爲す。陽體は剛強にして自在り、陰體は柔順にして陽に從ふ。婦人に三從の禮有り、每に自ら專らにするの義無し。夫死すれば子に從ふ。故に子を以て德と爲す。若し支干各々自ら德を爲さば、皆其の夫に從ふ。既に今、支干共に德を爲す。故に其の夫の位を離れ、故に便ち子に從ふなり。子の德、甲に在るは、水、木の母爲るが故なり。例は皆之の如し。

現代語訳校了

子は母を助けて孝養する性質を持つため、徳とされる。一般に干を陽、支を陰とし、陽の本体は剛強で自立し、陰の本体は柔順で陽に従うとする。女性には三従の礼があり、自分だけで決めるものではなく、夫の死後は子に従うという当時の観念になぞらえる。支と干がそれぞれ単独で徳を成すなら各々その夫に従うが、ここでは支干が共同で徳を成すため夫の位置を離れ、子に従う。子の徳が甲にあるのは、水が木の母だからであり、他も同様である。

GT-200128・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

一從月氣爲德者德不孤立對之以刑德爲陽以從乾刑爲陰以從坤亦如人之治政刑德兩施德有慶賜爵賞所以配陽刑有殺罰削奪所以配陰故王者日蝕則脩德月蝕則修刑

句読本文校了

一從月氣爲德者、德不孤立對之以刑德爲陽以從乾刑爲陰以從坤亦如人之治政刑德兩施德有慶賜爵賞所以配陽刑有殺罰削奪所以配陰。故王者、日蝕、則脩德月蝕、則修刑。

訓読校了

一つ、月氣より德と爲すは、德は孤り立たず、之に對するに刑を以てす。德を陽と爲して以て乾に從ひ、刑を陰と爲して以て坤に從ふ。亦、人の政を治めて刑德兩つながら施すが如し。德に慶賜・爵賞有るは、陽に配する所以なり。刑に殺罰・削奪有るは、陰に配する所以なり。故に王者、日蝕すれば則ち德を脩め、月蝕すれば則ち刑を修む。

現代語訳校了

月気による徳については、徳は単独で立たず、刑を対置する。徳を陽として乾に従わせ、刑を陰として坤に従わせる。これは人が政治を行う際に刑と徳をともに施すのと同じである。徳には慶び・賜与・爵位・賞与があるので陽に配し、刑には殺罰・削減・剥奪があるので陰に配する。そのため君主は、日食があれば徳を修め、月食があれば刑を整えるという。

GT-200129・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

董仲舒春秋繁露云天道之常一陽一陰陽者天之德陰者天之刑陰陽以終歲之行以觀天之所親任可以見德刑之用矣然天之任陽不任陰好德不好刑故陽出而積於夏任德以歲事陰出而積於冬錯刑以空處也

句読本文校了

董仲舒春秋繁露云、天道之常一陽一陰陽者、天之德陰者、天之刑陰陽以終歲之行以觀天之所親任可以見德刑之用矣。然天之任陽不任陰好德不好刑。故陽出、而積於夏任德以歲事陰出、而積於冬錯刑以空處也。

訓読校了

董仲舒『春秋繁露』に云ふ、天道の常は、一陽一陰。陽は天の德、陰は天の刑なり。陰陽、終歲の行を以て、天の親任する所を觀れば、以て德刑の用を見る可し。然れども天の陽に任じて陰に任ぜず、德を好みて刑を好まざるが故に、陽出でて夏に積み、德に任じて以て歲事し、陰出でて冬に積み、刑を錯きて以て空處するなり。

現代語訳校了

董仲舒の『春秋繁露』によれば、天道の常は一陽一陰で、陽は天の徳、陰は天の刑である。一年を終える陰陽の運行と天が親しく任用するものを観察すれば、徳と刑の働きを知ることができる。しかし天は陽を任用して陰を任用せず、徳を好んで刑を好まない。そのため陽は現れて夏に蓄積し、徳に任せて一年の事業を行う。陰は現れて冬に蓄積し、刑を置いて、活動のない時期に配する。

GT-200130・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

太公云人主舉事善則天應之以德惡則天應之以刑此竝陰陽相對德不獨治須偶之以刑也

句読本文校了

太公云、人主舉事善、則天應之以德惡、則天應之以刑此竝陰陽相對德不獨治須偶之以刑也。

訓読校了

太公云ふ、人主、事を舉ぐること善なれば、則ち天、之に應ずるに德を以てし、惡なれば、則ち天、之に應ずるに刑を以てす。此れ竝びに陰陽相對し、德獨り治めず、須らく之に偶するに刑を以てすべきなり。

現代語訳校了

太公は、君主の行為が善なら天は徳で、悪なら刑で応じるという。陰陽が対になるように、徳だけで治めるのではなく刑を組み合わせる必要がある。

GT-200131・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

從乾巛二卦之氣者十月坤卦用事自十一月而陽氣動陰爻變四月乾卦用事自五月而陰氣動陽爻變故黃鐘蕤賓陰陽之氣始也德刑在焉

句読本文校了

從乾巛二卦之氣者、十月坤卦用事自十一月、而陽氣動陰爻變四月乾卦用事自五月、而陰氣動陽爻變。故黃鐘蕤賓陰陽之氣始也。德刑在焉。

訓読校了

乾巛二卦の氣よりするは、十月、坤卦用事し、十一月より陽氣動き、陰爻變ず。四月、乾卦用事し、五月より陰氣動き、陽爻變ず。故に黃鐘・蕤賓は陰陽の氣の始めなり。德刑、焉に在り。

現代語訳校了

乾坤二卦の気で見ると、十月は坤、四月は乾が主となり、十一月に陽、五月に陰が動き始めて爻が変わる。したがって黄鐘と蕤賓は陰陽の気の始まりで、そこに徳と刑が置かれる。

GT-200132・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

建子之月坤初六爻變爲陽復卦用事陽氣動於黃泉之下陰氣布在蒼天之上爲德在室而刑在野建丑之月坤六二爻變爲陽臨卦用事陽氣稍出萬物萌芽陰氣將降威怒已衰爲德在堂而刑在街

句読本文校了

建子之月坤初六爻變爲陽復卦用事陽氣動於黃泉之下陰氣布在蒼天之上爲德在室、而刑在野。建丑之月坤六二爻變爲陽臨卦用事陽氣稍出萬物萌芽陰氣將降威怒已衰爲德在堂、而刑在街。

訓読校了

建子の月、坤の初六爻變じて陽と爲り、復卦用事す。陽氣、黃泉の下に動き、陰氣、布きて蒼天の上に在り。德は室に在りて、刑は野に在ると爲す。建丑の月、坤の六二爻變じて陽と爲り、臨卦用事す。陽氣稍や出で、萬物萌芽し、陰氣將に降りんとし、威怒已に衰ふ。德は堂に在りて、刑は街に在ると爲す。

現代語訳校了

子月には坤の初六爻が陽に変わって復卦が働く。陽気は黄泉の下で動き、陰気は蒼天の上に広がるため、徳は室、刑は野にある。丑月には坤の六二爻が陽に変わって臨卦が働く。陽気が少し現れ、万物が芽生え、陰気は降ろうとしてその威怒がすでに衰えるため、徳は堂、刑は街にある。

GT-200133・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

建寅之月坤六三爻變爲陽泰卦用事陽氣已達陰氣降入陰陽交泰萬物抽其牙葉爲德在庭而刑在巷建卯之月坤六四爻變爲陽大壯卦用事陽氣上騰乎天陰氣下入乎地陰陽氣交萬物成出德刑俱會於門

句読本文校了

建寅之月坤六三爻變爲陽泰卦用事陽氣已達陰氣降入陰陽交泰萬物抽其牙葉爲德在庭、而刑在巷。建卯之月坤六四爻變爲陽大壯卦用事陽氣上騰乎天陰氣下入乎地陰陽氣交萬物成出德刑俱會於門。

訓読校了

建寅の月、坤の六三爻變じて陽と爲り、泰卦用事す。陽氣已に達し、陰氣降り入り、陰陽交泰し、萬物其の牙葉を抽く。德は庭に在りて、刑は巷に在ると爲す。建卯の月、坤の六四爻變じて陽と爲り、大壯卦用事す。陽氣天に上騰し、陰氣地に下入し、陰陽の氣交はり、萬物成り出づ。德刑俱に門に會す。

現代語訳校了

寅月には坤の六三爻が陽に変わって泰卦が働く。陽気はすでに達し、陰気は降り入って、陰陽が交わり通じ、万物が芽と葉を伸ばすため、徳は庭、刑は巷にある。卯月には坤の六四爻が陽に変わって大壮卦が働く。陽気は天に上り、陰気は地に入り、陰陽の気が交わって万物が成り出るため、徳と刑はともに門で会う。

GT-200134・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

建辰之月坤六五爻變爲陽夬卦用事陽氣上達陰氣衰微爲德在巷而刑在庭建巳之月坤上六爻變爲陽純陽用事陽氣大盛陰氣消除萬物悅壯無復刑殺爲德在街而刑在堂

句読本文校了

建辰之月坤六五爻變爲陽夬卦用事陽氣上達陰氣衰微爲德在巷、而刑在庭。建巳之月坤上六爻變爲陽純陽用事陽氣大盛陰氣消除萬物悅壯無復刑殺爲德在街、而刑在堂。

訓読校了

建辰の月、坤の六五爻變じて陽と爲り、夬卦用事す。陽氣上達し、陰氣衰微す。德は巷に在りて、刑は庭に在ると爲す。建巳の月、坤の上六爻變じて陽と爲り、純陽用事す。陽氣大いに盛んにして、陰氣消除し、萬物悅壯して、復た刑殺無し。德は街に在りて、刑は堂に在ると爲す。

現代語訳校了

辰月には坤の六五爻が陽に変わって夬卦が働く。陽気が上へ達し、陰気が衰え弱まるため、徳は巷、刑は庭にある。巳月には坤の上六爻が陽に変わり、純陽が働く。陽気が大いに盛んとなって陰気が消え、万物が喜び壮大となり、もはや刑殺がないため、徳は街、刑は堂にある。

GT-200135・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

建午之月乾初九爻變爲陰遘卦用事陰氣動於黃泉之下陽氣布于蒼天之上爲德在野而刑在室

句読本文校了

建午之月乾初九爻變爲陰遘卦用事陰氣動於黃泉之下陽氣布于蒼天之上爲德在野、而刑在室。

訓読校了

建午の月、乾の初九爻變じて陰と爲り、遘卦用事す。陰氣、黃泉の下に動き、陽氣、蒼天の上に布く。德は野に在りて、刑は室に在ると爲す。

現代語訳校了

午月には乾の初爻が陰へ変わって姤卦となり、陰気が地下で動き、陽気が天上に広がるので、徳は野、刑は室にある。

GT-200136・巻2
本文 校了
原文翻刻校了

建未之月乾九二爻變爲陰遁卦用事陰氣稍昇陽氣將損萬物壯極皆以衰老爲德在街而刑在堂建申之月乾九三爻變爲陰否卦用事陽氣沈退陰氣進昇陰陽否隔殺威方盛爲德在巷而刑在庭

句読本文校了

建未之月乾九二爻變爲陰遁卦用事陰氣稍昇陽氣將損萬物壯極皆以衰老爲德在街、而刑在堂。建申之月乾九三爻變爲陰否卦用事陽氣沈退陰氣進昇陰陽否隔殺威方盛爲德在巷、而刑在庭。

訓読校了

建未の月、乾の九二爻變じて陰と爲り、遁卦用事す。陰氣稍や昇り、陽氣將に損ぜんとし、萬物壯極まりて皆以て衰老す。德は街に在りて、刑は堂に在ると爲す。建申の月、乾の九三爻變じて陰と爲り、否卦用事す。陽氣沈退し、陰氣進昇し、陰陽否隔し、殺威方に盛んなり。德は巷に在りて、刑は庭に在ると爲す。

現代語訳校了

未月には乾の九二爻が陰に変わって遯卦が働く。陰気が少し上昇し、陽気が衰えようとし、万物が盛りを極めてみな衰老するため、徳は街、刑は堂にある。申月には乾の九三爻が陰に変わって否卦が働く。陽気が沈み退き、陰気が進み上昇し、陰陽が塞がって隔たり、殺伐の威がまさに盛んとなるため、徳は巷、刑は庭にある。

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