三月三日は上巳(じょうし)の節供、桃の節供でございます。上巳とは、もとは三月最初の巳の日を指す言葉です。水辺で身を清める習いと、人形に穢れを託す祓、子供の成長を願う祝いとが、この節供に結びついてまいりました。
平安時代の物語には、子供たちの「ひいな遊び」が描かれております。人形で遊ぶことと、人形を用いる祓とは、それぞれの歴史をもつ営みでございます。今日の雛祭りの姿を、そのまま古い時代に当てはめず、時代とともに変わってきた祝いとして見てまいりましょう。
雛飾りには、土地や家ごとに受け継がれてきた形がございます。男雛と女雛の左右にも違いがあり、並べ方は一様ではございません。
ここでは、陰陽の序に基づく並べ方をご紹介いたします。左を陽、右を陰とし、雛ご自身から見た左に男雛、右に女雛を据えます。ご覧になる方からは、向かって右が男雛、左が女雛となります。左右を述べる際は、どちらから見た向きかを確かめることが大切でございます。
左手は天を、右手は地を表し、天地の序にならって陽を先、陰を後とする。当宮では、この陰陽の理を大切にしております。神前で拍手を打つ際に右の掌を少し下げることにも、この序を観ております。
雛を飾り、子供の健やかな成長を祈る。その願いを大切にしながら、それぞれの家に伝わる節供をお迎えください。