類聚神祇本源并序 序・前半
原文翻刻
神祇之起邈哉遠矣杳冥恍惚混沌未形湛然凝寂陰陽莫測出於物外超於意表煒々燁々虚徹靈通彼天之狹霧國之狹霧即是本地風光也天御中主國常立尊寧非大元至妙哉至如以一心分三界以一質配七代化陰化陽風雲之威不窮爲魂爲魄變通之理無盡者歟爰澆薄之世魯鈍之士披文不通義著相不辨性僅逮降迹之一轍
句読本文
神祇之起、邈哉遠矣。杳冥恍惚、混沌未形、湛然凝寂、陰陽莫測。出於物外、超於意表。煒々燁々、虚徹靈通。彼天之狹霧、國之狹霧、即是本地風光也。天御中主・國常立尊、寧非大元至妙哉。至如以一心分三界、以一質配七代、化陰化陽、風雲之威不窮、爲魂爲魄、變通之理無盡者歟。爰澆薄之世、魯鈍之士、披文不通義、著相不辨性。僅逮降迹之一轍。
訓読
神祇の起こりは、邈として遠いかな。杳冥恍惚として、混沌いまだ形なく、湛然凝寂として、陰陽も測るべからず。物外に出で、意表を超ゆ。煒々燁々として、虚徹霊通なり。彼の天の狭霧、国の狭霧、即ちこれ本地の風光なり。天御中主・国常立尊は、寧ろ大元至妙にあらずや。一心を以て三界を分かち、一質を以て七代に配し、陰と化し陽と化して、風雲の威は窮まらず、魂と為り魄と為って、変通の理は尽きざるが如きに至る。ここに澆薄の世、魯鈍の士は、文を披いて義に通ぜず、相に著して性を弁ぜず、僅かに降迹の一轍に逮ぶのみ。
現代語訳
神々の起源は、なんと遥か遠いことであろう。ほの暗く定かでない混沌にはまだ形がなく、静かに澄みきって、陰陽によってさえ測り知ることができない。それは形ある世界の外にあり、人の思いを超えている。明るく輝き、虚空を貫いて霊妙に通じる。天の狭霧、国の狭霧こそが、本来の境地のありさまである。天御中主尊と国常立尊は、根源の最も奥深い働きではないだろうか。一つの心から三界を分け、一つの本質を神代七代に配し、陰とも陽ともなって風雲を動かす威力は尽きず、魂とも魄ともなって変化し通じる理は尽きない。しかし教えの浅くなった世の愚鈍な者は、文を開いても意味に通じず、現れた姿に執着して本性を見分けられず、ただ神々がこの世に姿を現した一つの道筋にわずかに達するだけである。