鬼門と
桃の木

鬼門と桃の木

鬼門とは、北東の丑寅(うしとら)、艮(うしとら)の方位を指します。反対の南西、未申(ひつじさる)は裏鬼門と呼ばれます。陰陽道では、こうした方位を重んじ、住まう人々の平安を願ってまいりました。

鬼門と桃の木を結ぶ物語は、中国の『論衡』訂鬼篇に、『山海経』からの引用として伝わっております。度朔山には大きな桃の木があり、その枝の東北に、鬼たちが出入りする門がある。そこを神荼・鬱塁という二神が守り、人に害をなす鬼を捕らえるという物語でございます。

桃には、邪気を祓う力があると考えられてまいりました。桃の木を用いる祓の道具や、門を守る習いにも、このような願いを観ることができます。

鬼門に関する言い伝えには、門や水回りの位置を忌むものなど、さまざまな家相の説がございます。しかし、住まいの一か所だけをもって、病や家族の不和が定まると当宮が申し上げるものではございません。

暦が神々の気の巡りを時に読むものであるように、方位はその巡りを場に読むものでございます。凶とは、その時の気の巡りとの調和を得にくいということ。そこに心を配り、神々のご守護を願って暮らしを調えることが大切でございます。

門に桃を立て、家を祓い清める。その作法に込められた平安への願いを受け継ぎ、日々の暮らしの中で神々を敬ってまいりましょう。

暦想雑記
土御門文書編纂所