

当宮は、宇宙の本源神・太一大神(たいいつおおかみ)、またの御名を泰山府君大神(たいざんふくんおおかみ)をお祀り申し上げる、日本ただ一つの社でございます。
太一大神は、この世の天地開闢(てんちかいびゃく)において万物を生み出された始原の大神にして、陽なる太陽と陰なる月(太陰)をも内に含み、陰陽二元を超えて、万物を統べる唯一絶対の御存在でございます。
ここで、太一大神がいかにしてこの世界に顕れておられるかを、「天・地・人」の三才になぞらえて申せば次のようになります。
天においては、太一大神は北斗七星として宇宙の秩序(天の道)を示し、森羅万象を導く「お天道様」として顕れます。
地においては、「泰山府君大神」として姿を現され、人の寿命や運命を司り、国と家の安泰を守ってこられました。
人においては、暦に「天道神(牛頭天王)」と「歳徳神(恵方)」として顕れます。人は天から精神(陽の気)を受け、地から肉体(陰の気)を受けて生まれた「小さな宇宙」であり、天と地を結び、世に秩序や文化をもたらす存在です。
暦は、まさにその人が天と地と調和し、太一大神(お天道様)の御心にかなって正しく歩むための手引書なのでございます。
古来、歴代の天皇陛下もまた、太一大神のお言葉を仰ぎ、国の命運やご自身の歩みを占い、その御加護をいただいてまいりました。(太一大神は安倍晴明を祖とする陰陽道宗家・土御門家によってのみ秘して祀られてきたため、当宮は唯一無二の存在として「日本一社」と称されております。)

その御神威のゆえに、第百十二代霊元天皇より「天社」の宮号を賜り、特別に崇められてまいりました。太一大神の御神体と特別なる神事は、千三百年前に吉備真備公が唐より将来し、皇室と為政者により秘して伝えられてまいりました。なぜなら、宇宙の本源神に祈願することは、すなわち国の命運を左右する重大事であったからでございます。ゆえにその御存在は、世に広く知られることなく、今に伝わる「秘神」と申せましょう。
古くから「神は人の敬によってその威を増し、人は神の徳によって運を添う」と申します。しかし、ただ神様に祈るだけでは、御神徳も吉日も得られません。求められるのは「浄明正直(じょうめいしょうじき)」の心。清らかで明るく、正しく素直な心でございます。
昔から「お天道様が見ている」と申します。それは単なる戒めではなく、人の心構えひとつで、良き運勢もまた悪しき方向へと舵を切ってしまうという真理を示す言葉でございます。心を正して歩むことこそ、太一大神(お天道様)の御心にかなう生き方なのです。
太一大神の御心を敬う時、人は災厄を退け、迷いを晴らし、安らぎの中に力強く歩むことができます。とりわけ困難に直面するとき、太一大神(お天道様)は決して人を見捨てることなく、その御力をもって、天地の神々に働きかけ、運命を拓き、必ず助け導いてくださいます。
現代においても、当宮が奉製する「太一大神の御神気を宿した暦」は、多くの由緒ある神社やお寺で用いられ、全国の氏子・崇敬者の皆様の日々を支えております。暦を通じてお天道様の御心を知るとき、日々の出来事は偶然ではなく、すべてが宇宙の秩序と天意に調和していることを悟るのでございます。
八百万の神々を生み出した始原の大神、太一大神(お天道様)と結びを結び、その御加護が皆々様の人生に豊かに注がれ、苦しみのときには支えとなり、喜びのときにはさらに輝きを添えてくださいますよう、心よりお祈り申し上げます。



年中行事
当宮では、安倍晴明公より受け継ぎ、
永きにわたり大切に守り伝えて
まいりました天の神々への祭祀を、
今も古式ゆかしい作法に則り、
斎行しております。


お祓い・厄除け
古来より、歴代の天皇陛下の
御代の安泰を祈り奉り、また
将軍家の御安泰を願い、その
災厄を祓い清め、国家鎮護の
大役を果たしてきたのが、
当宮の歴代の陰陽師(現在は陰陽士)
の務めでございます。


ご祈祷
当宮のご祈祷は、
願主さまの願意を最高神太一大神を中心に、
願意を叶える神徳を司る神々に祈り重ね、
その御神徳をいただけるよう
陰陽士がお取り次ぎする神事でございます。




土御門文書編纂所
天社宮に設けられた「土御門文書編纂所」は、
当宮の陰陽士が所属し、陰陽道を研鑽し、
正統なる暦を編む部署でございます。