祭祀行事
春
星祭
天社宮の星祭は、朝廷の陰陽寮に伝えられた泰山府君祭のうち、「本命属星祭」に淵源をもつ、千年を超える歴史を有する祭祀でございます。
この祭祀は、陰陽道において最も重んじられてきた祭儀の一つであり、平安の御代、太一陰陽五行の理を深く修められた安倍晴明公によって、さらにその秘儀が整えられたと伝えられております。
星祭は、陰陽道の主祭神・泰山府君大神、すなわち太一を奉斎し、紫微宮に鎮まります星辰の神々へ祈りを捧げる、太一信仰の精髄でございます。
人はみな、生まれた年により、本命星を授かっております。
本命星は、その人の命の根に深く関わり、年ごとに暦の上を巡りながら、天地の気と交わってまいります。
その巡りの中で、星の気が調和するときもあれば、相剋を生じるときもございます。
本命星の鎮まりが乱れますと、心身の調和を失い、思わぬ災厄、病難、迷い、運気の滞りを招くことがございます。
天の神々に祈りを捧げ、太一の御神徳を仰ぎ、本命星を本来の鎮まりへと還すこと。
これを、陰陽道では帰魂(きこん)と申します。
星祭は、災禍を遠ざけ、本命星の御はたらきを旺盛ならしめ、心身を清らかな調和へと導く御祈祷でございます。
天社宮では、古式の理法に基づき、皆様の本命星の安泰と、年中の厄災消除、開運招福、身体健全を祈念し、星祭「本命属星祭」を厳修いたしております。
星祭のお申し込みにつきましては、時期が近づきましたら、本頁にてご案内申し上げます。
朔日
名越の祓
八朔祭
名越の祓は本来、水無月の晦日に行われる祓でございますが、当宮では旧暦の慣いに沿い、八月一日に八朔祭と併せて斎行いたしております。
この祓は、近年「夏越の祓」とも書かれますが、古くは「名越」と記され、その名には深い理がございます。
順徳天皇の歌学書『八雲御抄』には、「邪神をはらひなごむる祓ゆゑになごし」と見えます。すなわち名越とは、邪なるもの、荒ぶるものを祓い、天地の気を和める祓であるという意味でございます。
また、六月の尽きる頃は、夏から秋へと気が移り変わる節目にあたります。陰陽五行において夏は火、秋は金に属し、この季節の交わりには、火と金の相剋による気の乱れが生じるとされてまいりました。
名越の祓は、その節目に生じる災いを祓い清め、身に受けた罪穢れを形代に移し、身魂を清らかに整えるための大切な祭祀でございます。
茅の輪をくぐることは、単なる習俗ではございません。茅の輪は、淀みたる気の巡りを整え、災いを祓い清めるための古き祓の作法でございます。
また、人の形をした人形(ひとがた)は、陰陽道において形代(かたしろ)とも申します。身に受けた罪穢れ、病のもと、災いの気をこの形代に移し、本人に代わって祓い清める依り代でございます。
一方、「八朔」は八月一日を指し、実りの秋を迎える前の大切な節目でございます。夏の火気を経て、天地の気は次第に収穫を司る秋の気へと移ってまいります。
八朔祭は、天地のめぐみに感謝し、作物の無事な成長と豊かな実り、暮らしの安泰を祈る神事でございます。
このように「名越の祓」と「八朔祭」は、陰陽五行の気のめぐりに沿って、罪穢れを祓い、身魂を清め、季節の節目に生じる災いを鎮め、福寿と豊穣を願う大切な祭祀でございます。